2021年01月20日
サマリー
◆2021年1月の大和地域AI(地域愛)インデックスは強弱があるが、全地域で改善した。
◆分野別に見ると、消費関連のインデックスは「東北」「九州・沖縄」など5地域で改善する一方、「東海」「関東甲信越」などは悪化した。これは新型コロナウイルス感染症の広がりが地域により異なるため、その影響が出やすいサービス消費で顕著に表れたものと考えられる。ただし、宿泊や飲食サービスはGo To キャンペーンの一時停止の影響により、全国的に悪化している。住宅投資は在宅時間の増加で小規模リフォーム工事が増えたとの声も聞かれるが、感染症の再拡大により雇用・所得環境が全地域で弱い動きとなっており、住宅投資自体は低調だ。引き続き、感染再拡大の状況やそれによる雇用・所得環境への影響が、地域消費を見る上で重要な要因となるものと考えられる。企業関連では、国内外の自動車需要の回復や新車投入による押し上げ効果などの影響で、「東北」「北陸」「近畿」を中心に全国的に自動車関連を中心に生産・輸出が持ち直しており、今後も継続すると見込まれる。その結果、企業マインドは総じて回復基調だ。一方、設備投資は感染症の再拡大による先行きの不透明感から、必要案件に絞り込むなど、「関東甲信越」を中心に弱めの動きとなっている。公共投資は、感染症再拡大の影響を受けておらず、国土強靱化計画や災害復旧などの需要が継続していることから、今後も安定して地域景気を下支えするだろう。
◆今回の11都府県への緊急事態宣言の再発出は、昨春の同宣言と比べると外出制限や営業制限の程度が弱く、経済への悪影響は相対的に小さいと見込まれる。反面、感染症の収束には時間がかかりそうなこと、さらに現状の政策対応が見通しづらいこともあり、サービス消費や設備投資などが回復軌道に戻るまではまだしばらく時間がかかりそうだ。特に非製造業などの本格的な回復には、今後のワクチンの普及などがカギを握るものと思われる。
◆一方、今回のコロナ禍ではキャッシュレス化やペーパーレス化、在宅勤務といったデジタルトランスフォーメーション(DX)も進んだが、まだ十分とはいえない。本格的なDXの実現には、組織体制などの周辺環境も中長期的な視点から整備していく必要がありそうだ。
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