2020年04月15日
サマリー
◆2020年4月の大和地域AI(地域愛)インデックスは、全ての地域で悪化した。
◆分野別に見ると、新型コロナウイルス感染症の影響を最も大きく受けた消費関連のインデックスが、全ての地域で低下した。買いだめ需要の影響で「東海」など一部地域のスーパー・ドラッグストアの販売額は堅調だが、外出自粛や訪日外国人客の減少による影響で、「北海道」「北陸」など全国的に百貨店の売上高や旅行取扱・宿泊者数の減少が見られる。企業関連では、「東北」など一部の地域は電気機械で5G(第5世代移動通信システム)対応やコロナ後の挽回に備えた生産増も見られるが、新型コロナウイルス感染症の影響で、「九州・沖縄」「北海道」などは幅広い業種で生産が減少しつつある。比較的良好であった「近畿」の非製造業の企業マインドも低下した。一方、設備投資は若干勢いが弱まるものの、引き続き省力化投資や5G対応もあり、総じて堅調な動きを示している。公共投資も今のところ新型コロナウイルス感染症の影響は見られず、安定した景気の下支え要因となっている。
◆中国など一部の国で新型コロナウイルスの影響は弱まりつつあるとの報道もあるが、国内外では未だに感染者の拡大が続いており、完全な収束までに相当の時間がかかるものと思われる。これまで地域経済の大きな柱の一つであった訪日外国人客の減少や今回の外出自粛等で地域のサービス消費は大きく影響を受けており、地域景気を下支えしていた非製造業の回復には時間を要するだろう。一方で、従来の省力化投資や5G対応に加えて、遅れていたリモートワークなど、経済・社会全体でICTの利活用が急速に進むことが見込まれるため、内需の回復はICT関連が着火点となるだろう。総額108兆円の緊急経済対策が策定されたが、大きく落ち込んだ地域経済が回復するにはさらなる消費喚起策も必要だ。
◆今回の新型コロナウイルスは従来の日本経済・社会に大きな変革をもたらす可能性が高いと思われる。持久戦に耐えた後に到来する新しい経済・社会の姿を想定して、今後の地域経済のあり方を再考しておくことが重要だ。
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