2020年01月21日
サマリー
◆2020年1月の大和地域AI(地域愛)インデックスは、「東海」を中心に全ての地域で悪化した。
◆分野別に見ると、消費関連は消費税率引き上げに伴う駆け込み需要の反動減による影響で、足元のインデックスは全ての地域で低下した。「東北」「東海」などで家電や自動車の販売減が強めに出ているものの、今回実施のキャッシュレス決済時のポイント還元効果もあり、全体的に消費税率引き上げに伴うマイナスの影響は小さいようだ。企業関連では、海外経済の減速等で全国的に生産が低下し、企業マインドも「北海道」「東北」「四国」「九州・沖縄」で低下した。そうした中、省力化投資や5G(第5世代移動通信システム)対応もあって設備投資は総じて堅調な動きをしており、「北陸」の設備投資のインデックスは若干のプラスとなった。
◆先行きに関しては、外需の減速リスクの後退や内需の底堅さから、2020年の地域経済は堅調さを維持するものと思われる。米中貿易摩擦では2019年9月に発動された追加関税が引き下げられる見通しであること等で、外需の不確実性は幾分低下する見込み。韓国からの訪日観光客の減少も中国や台湾からの観光客でカバーされており、それほど懸念材料にはならないだろう。また内需は、消費税率引き上げ後の消費の反動減も次第にはく落し、さらに省力化投資や5G対応、経済対策等で設備投資や公共投資なども増加していくものと思われる。
◆リスク要因としては、米中貿易摩擦への懸念が払しょくされるには時間がかかることが予想され、海外経済の不確実性が暫くは輸出や生産を下押しする可能性がある。内需についても、公共投資では賃金の低い地方圏の人手不足が顕著になり、工事の進捗が遅れるリスクがある。設備投資でも受注環境の悪化や施工業者の人手不足の影響で能力増強投資を先送りする例が見られる。このように海外経済の動向に加えて、好調な内需の持続性についても見極めることが、2020年の地域経済の動向を占う上で重要になるものと考える。
このコンテンツの著作権は、株式会社大和総研に帰属します。著作権法上、転載、翻案、翻訳、要約等は、大和総研の許諾が必要です。大和総研の許諾がない転載、翻案、翻訳、要約、および法令に従わない引用等は、違法行為です。著作権侵害等の行為には、法的手続きを行うこともあります。また、掲載されている執筆者の所属・肩書きは現時点のものとなります。
関連のレポート・コラム
最新のレポート・コラム
-
米GDP 前期比年率+2.8%と加速
2024年4-6月期米GDP:内需主導での堅調さを維持
2024年07月26日
-
監査・ガバナンス強化へ回帰する英国
昨年撤回した監査強化方針を復活し、ガバナンス・コードも厳格化へ
2024年07月25日
-
女性がキャリアを築ける職場ほど、子どもを持ちやすい
健保組合ごとの被保険者・被扶養者の出生率と、その要因の多変量解析
2024年07月24日
-
GX経済移行債に期待されるインパクトレポーティング
~GXの理解醸成促進に向けて~『大和総研調査季報』2024年夏季号(Vol.55)掲載
2024年07月24日
-
盛り上がりに欠ける英国の政権交代
2024年07月26日
よく読まれているリサーチレポート
-
「国債買入減額+利上げ」だけで長期金利は2%超えか
シナリオ別に見た日銀の国債買入減額による長期金利への影響試算
2024年06月12日
-
信用リスク・アセットの算出手法の見直し(確定版)
国際行等は24年3月期、内部モデルを用いない国内行は25年3月期から適用
2022年07月04日
-
第221回日本経済予測(改訂版)
賃上げ・物価高の先にある経済の姿と課題は?①賃上げ効果、②貿易デジタル赤字、③トランプリスク、を検証
2024年06月10日
-
「事業性融資の推進等に関する法律案」概要
事業性に着目した企業価値担保権の創設
2024年05月30日
-
バーゼルⅢ最終化による自己資本比率への影響の試算
標準的手法採用行では、自己資本比率が1%pt程度低下する可能性
2024年02月02日
「国債買入減額+利上げ」だけで長期金利は2%超えか
シナリオ別に見た日銀の国債買入減額による長期金利への影響試算
2024年06月12日
信用リスク・アセットの算出手法の見直し(確定版)
国際行等は24年3月期、内部モデルを用いない国内行は25年3月期から適用
2022年07月04日
第221回日本経済予測(改訂版)
賃上げ・物価高の先にある経済の姿と課題は?①賃上げ効果、②貿易デジタル赤字、③トランプリスク、を検証
2024年06月10日
「事業性融資の推進等に関する法律案」概要
事業性に着目した企業価値担保権の創設
2024年05月30日
バーゼルⅢ最終化による自己資本比率への影響の試算
標準的手法採用行では、自己資本比率が1%pt程度低下する可能性
2024年02月02日