クラウドソーシングにおけるワーカー保護の視点

クラウドソーシング事業者との関係に注目

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2019年02月21日

  • 経済調査部 市川 拓也

サマリー

◆クラウドソーシングは企業によるアウトソーシングが特定の相手ではなく、インターネットを通じて広く業務を委託する形態を指す。総務省「情報通信白書平成30年版」では日本のクラウドソーシング受注者数を150万人程度と推計している。

◆発注者とクラウドソーシングの受注者であるワーカーの関係は基本的に業務委託であり、ワーカーは独立した自営業者という位置づけとなる。それゆえに企業に雇用されることで得られる社会保障が十分に受けられない可能性がある。

◆政府としても、働き方改革の中で「雇用類似の働き方」を注視し、クラウドソーシングのワーカー対応を含めて検討している。急速にクラウドソーシングが普及し、働き方も大きく変わりつつある中で、現在の雇用されないワーカーを早く保護できるようスピード感を持った対応が必要ではなかろうか。

◆クラウドソーシングのワーカー保護においては、発注者とワーカーの関係ではなく、仲介事業者であるクラウドソーシング事業者とワーカーの関係で捉えるべきであると筆者は考える。今後、クラウドソーシング事業者の責任において、一件当たりの最低報酬額の保障など収入面を出発点として、ワーカー保護が進展することを期待したい。

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