2019年01月28日
サマリー
◆近年、ESG投資への関心が高まっている。企業におけるダイバーシティ経営の推進を政府も政策面から強めるなど、上場企業での女性活躍の重要性が増している。本稿では、上場企業における女性役員登用について、業種別の状況を明らかにした。
◆上場企業における女性役員数は、東京証券取引所がコーポレートガバナンス・コードを上場規程の中に取り入れ、2015年以降に大きく増加している。しかし、政府が目指す2020年に女性役員比率を10%にする目標達成は厳しい状況にある。
◆上場企業の女性役員登用の状況を業種別に確認すると、「保険」「空運」「水産」「小売業」「通信」「医薬品」などは、社外と社内の人材活用のバランスが図られている可能性がある。「サービス」や「不動産」は、社外人材の活用はやや少ないが、内部昇進の女性からの役員登用は一定程度ある。「電力」「石油」「銀行」「鉄道・バス」「自動車」「輸送用機器」は、女性役員の登用を外部人材の活用によって行ってきた傾向が強い。
◆女性役員登用における社内人材と社外人材の活用のバランスは、業種によって違いが見られるが、女性従業員一般について、キャリア形成が可能となる配置転換や人材育成の仕組みが女性管理職を着実に増やすことになり、中長期的には内部昇進の女性役員を増やすことにつながるだろう。
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