産業別に見た男女間賃金格差はこの10年でどう変化したのか

『大和総研調査季報』 2018年秋季号(Vol.32)掲載

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2018年10月23日

  • 菅原 佑香

サマリー

SDGsにおいて、ジェンダー平等と女性のエンパワーメントが目標の一つに掲げられている。しかし、日本の女性の労働参加は進んだものの男女間の賃金格差は国際的に見ても依然として大きい。管理職等に占める女性割合などに見る女性活躍の状況について、日本は諸外国から後れを取っている。

男女間の賃金格差は主にフルタイムの正規雇用者間で大きく、勤続年数や職階の男女差によって説明できるとされてきた。男女間の賃金格差は、特に2007年から17年の10年間で縮小したが、その背景には男女雇用機会均等法の改正だけでなく、世界的金融危機の影響で男性賃金が低下したこともある。

男女間の賃金格差の現状は産業ごとに大きく特徴が異なり、格差が縮小した産業も少なくない。今後、男女間の賃金格差を解消していくためには、国や自治体が各産業の特徴に応じた政策をさらに推進することや、企業が男女間の賃金格差の状況を踏まえて女性活躍推進法に基づく事業主行動計画を遂行すること、さらには長期雇用を前提とした日本的雇用慣行の中での配置転換や育成の男女差、女性の意識向上を図っていくことなどが求められる。

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