女性の昇進意欲を左右する基幹的職務経験

管理職の選抜時期まで昇進意欲を維持するには何が必要か

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2018年08月30日

  • 菅原 佑香

サマリー

◆政府は、指導的地位に占める女性の割合を2020年までに30%程度にする目標を掲げているが、その達成は極めて厳しい状況にある。多くの企業は女性の昇進意欲の低さに課題を感じているが、先行研究によると、企業の「ポジティブ・アクション」や、上司が女性部下を信頼して仕事を任せたり、高い課題や目標を設定したりするなどのマネジメントが有効であるという。

◆係長級の役職へ昇進し始める入社5~9年目は、女性にとってキャリア意識が変化しやすい時期に当たり、男性に比べて昇進意欲が低下する傾向が見られる。この時に、様々な人と関わったり、主体的に仕事を進めたりする「基幹的職務」の経験を積むことで、仕事のやりがいや達成感などを得ることができれば、昇進意欲の低下が抑えられる可能性がある。

◆基幹的職務の経験割合や開始時期には男女差がある。女性の昇進意欲が低下しないよう、基幹的職務経験をまずは男性と同等に、場合によっては男性よりも早めに積めるような体制が求められる。これは日本企業一般に見られる管理職に関する「遅い選抜」の時期が、出産・育児のタイミングと重なることが多いという現実を克服する上でも重要である。

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