「人生100 年時代」の高年齢者雇用と企業年金

『大和総研調査季報』 2018年夏季号(Vol.31)掲載

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サマリー

人手不足は企業が長期に対応すべき構造的問題である。女性や高齢者の労働参加を想定しても、雇用者数は現在の約5,800 万人から2065 年度には約3,700 万人へ減少し、60 歳以上の高年齢者の割合が高まると見込まれる。企業にとって高年齢者の能力等を生かす就労環境の整備が一層重要となろう。

ほぼ全ての企業で65 歳までの継続雇用が一応は実施されているものの、高年齢者の就業意欲が強い状況とは対照的に、企業はその活用に課題があると感じている。高年齢者雇用の活用・拡大には、高年齢者が柔軟に働ける職場環境の整備や、高年齢期を見据えたキャリア形成を雇用者自身が行うよう、企業が後押しすることなどが求められる。

ここ数年の大幅な制度改正で、企業年金制度の選択肢は広がった。DBにはリスク対応掛金やリスク分担型DBなど企業の運用リスクを抑える制度が創設され、中小企業の導入を後押しする簡易型DC等が2018 年5月から始まった。「人生100 年時代」を見据えると、企業の財務面だけでなく、職場に関係なく継続して老後の資産形成を図りたいという働き手のニーズや、就労形態の多様化に対応する観点からも企業年金制度の整備が必要である。

大和総研調査季報 2024年新春号Vol.53

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