サマリー
本稿では「働き方・休み方改革」によるわれわれの生活時間の変化を考察する。労働時間が削減されると大半の余暇時間は増加するが、仕事関係の「交際・付き合い」「食事」等の時間は減少する。また、労働時間の削減がマクロの消費全体に与える影響を分析したが、統計的に有意な関係は確認できなかった。ただし個別には、食料、衣料、交際費はマイナス、光熱、教養娯楽、理美容、身の回り用品ではプラスの影響があった。つまり、労働時間の削減は余暇時間の変化を通じて、消費項目の配分を変化させる可能性が高い。
都市圏に比べて地方圏の就業女性の方が余暇時間は短い。背景には地方圏の就業女性では家事・育児等に費やす時間が長く、低賃金でも所得を確保するために労働時間が長くなることがあると考えられる。ただし、地方圏では男女間の労働時間の差が小さく、地方圏の女性は子育ての負担感が小さい。
家計生産時間や市場労働時間が軽減され、さらに地域や男女間でそれらの時間の差が縮小すれば、余暇時間の拡大により心身機能の回復を図り、子育て負担軽減や能力開発の時間が確保できる。今後の経済成長の源泉はイノベーションを生む人的資本であり、われわれの生活時間をその強化に使えば、日本の成長力向上に貢献するだろう。

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