サマリー
◆2018年7月9日に公表された内閣府「中長期の経済財政に関する試算」によると、2025年度における国・地方の基礎的財政収支(PB)は成長実現ケースでGDP比▲0.3%、ベースラインケースでGDP比▲1.3%と見込まれている。半年前に公表された前回の見通しから赤字幅が縮小した。これは主に、足元の税収の上振れの一部が今後の税収増に寄与する分として、将来の税収見通しに上乗せされたためと考えられる。
◆2019、20年度のCPI上昇率の見通しが大幅に引き下げられたことで、長期金利がゼロ%から上昇へ転じると見込まれるタイミングが2021年度へ一年、後ずれした。結果として、前回の見通しよりも政府の金利負担が減少しており、PBの改善もあって財政収支や公債等残高の見通しが改善した。
◆2018年6月に策定された「新経済・財政再生計画」では、計画の進捗状況を確認するため、2021年度におけるPB対GDP比、債務残高対GDP比、財政収支対GDP比の3つの指標が、メルクマールとして設定された。成長実現ケース、ベースラインケースともに3つの指標をクリアするように財政が改善していく見込みである。ただ、中長期試算で示された財政改善を首尾よく実現できるかどうかに関しては、経済面での不確実性の大きさに留意が必要である。
このコンテンツの著作権は、株式会社大和総研に帰属します。著作権法上、転載、翻案、翻訳、要約等は、大和総研の許諾が必要です。大和総研の許諾がない転載、翻案、翻訳、要約、および法令に従わない引用等は、違法行為です。著作権侵害等の行為には、法的手続きを行うこともあります。また、掲載されている執筆者の所属・肩書きは現時点のものとなります。
執筆者のおすすめレポート
同じカテゴリの最新レポート
-
日本の財政の現状② 歳出と収支
財政シリーズレポート2
2025年07月18日
-
日本の財政の現状① 債務残高と歳入の特徴
財政シリーズレポート1
2025年06月12日
-
PB赤字は2026年度も続く?
予算修正とトランプ関税で3~4兆円の財政悪化も
2025年05月13日
最新のレポート・コラム
よく読まれているリサーチレポート
-
2025年度の最低賃金は1,100円超へ
6%程度の引き上げが目安か/欧州型目標の扱いや地方での議論も注目
2025年07月16日
-
のれんの償却・非償却に関する議論の展望
2025年07月07日
-
日本経済見通し:2025年7月
25年の賃上げは「広がり」の面でも改善/最低賃金の目安は6%程度か
2025年07月22日
-
対日相互関税率は15%で決着へ-実質GDPへの影響は短期で▲0.5%、中期で▲1.2%-
相互関税以外の関税措置も含めると実質GDPは中期で3.2%減少
2025年07月23日
-
新たな相互関税率の適用で日本の実質GDPは短期で0.8%、中期で1.9%減少
相互関税以外の関税措置も含めると実質GDPは中期で3.7%減少
2025年07月08日
2025年度の最低賃金は1,100円超へ
6%程度の引き上げが目安か/欧州型目標の扱いや地方での議論も注目
2025年07月16日
のれんの償却・非償却に関する議論の展望
2025年07月07日
日本経済見通し:2025年7月
25年の賃上げは「広がり」の面でも改善/最低賃金の目安は6%程度か
2025年07月22日
対日相互関税率は15%で決着へ-実質GDPへの影響は短期で▲0.5%、中期で▲1.2%-
相互関税以外の関税措置も含めると実質GDPは中期で3.2%減少
2025年07月23日
新たな相互関税率の適用で日本の実質GDPは短期で0.8%、中期で1.9%減少
相互関税以外の関税措置も含めると実質GDPは中期で3.7%減少
2025年07月08日