日本の財政の現状① 債務残高と歳入の特徴

財政シリーズレポート1

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2025年06月12日

サマリー

◆日本の債務残高対GDP比は世界的に見ても歴史的に見ても、異例の高さである。日本では、世界トップクラスの超高齢社会で社会保障支出が増加してきたことに加え、政府は世界経済危機や新型コロナウイルス感染症拡大などの有事の際に巨額の支出も行った。このまま債務残高が際限なく増え続ければ、経済・財政に何らかの問題が生じるであろう。

◆近年、デフレから脱却したことや消費税増税が実施されたことで税収が増えてはいるが、社会保障費の増大等によって大きくなった歳出額を十分に賄えているわけではなく、差分を埋める公債発行が続いている。社会保障支出と国民負担率のバランスをOECD諸国と比べると、日本は、中程度の国民負担率で、高い水準の社会保障支出を行っている。政府サービスとの対比においては、依然として国民負担率が十分には高くないため、財政赤字で社会保障支出等を維持している状況だ。

◆財政赤字を減らすためには、保険料・租税からなる国民負担(政府の収入)を増やすか、支出を減らすかのいずれかしか選択肢はない。2025年には、団塊の世代の全員が75歳以上になることから、社会保障支出は増加傾向が続くと見込まれる。社会保障支出と国民負担のバランスをどのようにしていくべきか、検討する必要がある。

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