サマリー
◆日本の債務残高対GDP比は世界的に見ても歴史的に見ても、異例の高さである。日本では、世界トップクラスの超高齢社会で社会保障支出が増加してきたことに加え、政府は世界経済危機や新型コロナウイルス感染症拡大などの有事の際に巨額の支出も行った。このまま債務残高が際限なく増え続ければ、経済・財政に何らかの問題が生じるであろう。
◆近年、デフレから脱却したことや消費税増税が実施されたことで税収が増えてはいるが、社会保障費の増大等によって大きくなった歳出額を十分に賄えているわけではなく、差分を埋める公債発行が続いている。社会保障支出と国民負担率のバランスをOECD諸国と比べると、日本は、中程度の国民負担率で、高い水準の社会保障支出を行っている。政府サービスとの対比においては、依然として国民負担率が十分には高くないため、財政赤字で社会保障支出等を維持している状況だ。
◆財政赤字を減らすためには、保険料・租税からなる国民負担(政府の収入)を増やすか、支出を減らすかのいずれかしか選択肢はない。2025年には、団塊の世代の全員が75歳以上になることから、社会保障支出は増加傾向が続くと見込まれる。社会保障支出と国民負担のバランスをどのようにしていくべきか、検討する必要がある。
このコンテンツの著作権は、株式会社大和総研に帰属します。著作権法上、転載、翻案、翻訳、要約等は、大和総研の許諾が必要です。大和総研の許諾がない転載、翻案、翻訳、要約、および法令に従わない引用等は、違法行為です。著作権侵害等の行為には、法的手続きを行うこともあります。また、掲載されている執筆者の所属・肩書きは現時点のものとなります。
同じカテゴリの最新レポート
-
日本の財政の現状② 歳出と収支
財政シリーズレポート2
2025年07月18日
-
PB赤字は2026年度も続く?
予算修正とトランプ関税で3~4兆円の財政悪化も
2025年05月13日
-
2025年度のPBはGDP比1~2%程度の赤字?
減税や大型補正予算編成で3%台に赤字が拡大する可能性も
2025年01月15日
最新のレポート・コラム
よく読まれているリサーチレポート
-
2025年度の最低賃金は1,100円超へ
6%程度の引き上げが目安か/欧州型目標の扱いや地方での議論も注目
2025年07月16日
-
2025年ジャクソンホール会議の注目点は?
①利下げ再開の可能性示唆、②金融政策枠組みの見直し
2025年08月20日
-
既に始まった生成AIによる仕事の地殻変動
静かに進む、ホワイトカラー雇用の構造変化
2025年08月04日
-
米雇用者数の下方修正をいかに解釈するか
2025年7月米雇用統計:素直に雇用環境の悪化を警戒すべき
2025年08月04日
-
中国:2025年と今後10年の長期経済見通し
25年:2つの前倒しの反動。長期:総需要減少と過剰投資・債務問題
2025年01月23日
2025年度の最低賃金は1,100円超へ
6%程度の引き上げが目安か/欧州型目標の扱いや地方での議論も注目
2025年07月16日
2025年ジャクソンホール会議の注目点は?
①利下げ再開の可能性示唆、②金融政策枠組みの見直し
2025年08月20日
既に始まった生成AIによる仕事の地殻変動
静かに進む、ホワイトカラー雇用の構造変化
2025年08月04日
米雇用者数の下方修正をいかに解釈するか
2025年7月米雇用統計:素直に雇用環境の悪化を警戒すべき
2025年08月04日
中国:2025年と今後10年の長期経済見通し
25年:2つの前倒しの反動。長期:総需要減少と過剰投資・債務問題
2025年01月23日