サマリー
財政を健全化させるためには、民間の支出拡大につながる成長戦略の視点が歳出改革において必要であることや、課題の「見える化」によって国民・住民や利害関係者の理解と納得を得た改革モメンタムが不可欠であることが、1990年代以降の財政健全化策の経験から示唆される。
また、リーマン・ショック後の欧州政府債務危機からは、問題のある財政運営は数十年後に難題をもたらし得ることや、低い経済成長率は金利・成長率格差を拡大させて財政運営を困難にしがちであるということを学ぶべきである。
現在、「経済・財政再生計画」として進められている「経済・財政一体改革」は、それらの教訓に応え、公的サービスの産業化やインセンティブ改革などを基本コンセプトとしている。また、トップダウンではなくボトムアップの改革を推進するための「見える化」や、先進・優良事例の横展開が重視されている。経済と社会の将来は工夫次第で大きく変化すると考えられ、そうした改革が進められているという情報や理解を、より多くの人々にいかに広めることができるかが課題である。
大和総研調査本部が長年にわたる知識と経験の蓄積を結集し、的確な現状分析に基づき、将来展望を踏まえた政策提言を積極的に発信していくとのコンセプトのもと、2011年1月に創刊いたしました。
このコンテンツの著作権は、株式会社大和総研に帰属します。著作権法上、転載、翻案、翻訳、要約等は、大和総研の許諾が必要です。大和総研の許諾がない転載、翻案、翻訳、要約、および法令に従わない引用等は、違法行為です。著作権侵害等の行為には、法的手続きを行うこともあります。また、掲載されている執筆者の所属・肩書きは現時点のものとなります。
関連のレポート・コラム
最新のレポート・コラム
-
0.50%への利上げが家計・企業に与える影響
家計では「30~40代」の世帯、企業では「中小」で負担が大きい
2025年01月22日
-
CISA が初の国際戦略を発表
DIR SOC Quarterly vol.10 2025 winter 掲載
2025年01月22日
-
「103万円の壁」与党改正案の家計とマクロ経済への影響試算(第4版)
71万人が労働時間を延ばし、個人消費は年0.5兆円拡大の見込み
2025年01月21日
-
欧州サイバーレジリエンス法(EU Cyber Resilience Act)の発効
DIR SOC Quarterly vol.10 2025 winter 掲載
2025年01月21日
-
Scope3排出量の削減目標達成にカーボンクレジットは使えるようになるのか?
2025年01月22日
よく読まれているリサーチレポート
-
2025年の日本経済見通し
1%台半ばのプラス成長を見込むも「トランプ2.0」で不確実性大きい
2024年12月20日
-
「トランプ関税2.0」による日本経済への影響試算
中間財の出荷減や米国等の景気悪化で日本の実質GDPは最大▲1.4%
2024年12月18日
-
課税最低限「103万円の壁」引上げによる家計と財政への影響試算(第3版)
様々な物価・賃金指標を用いる案および住民税分離案を検証
2024年12月04日
-
長寿化で増える認知症者の金融資産残高の将来推計
金融犯罪を含む金融面の課題やリスクへの対応も重要
2024年12月20日
-
石破政権の看板政策「2020年代に最低賃金1500円」は達成可能?
極めて達成困難な目標で、地方経済や中小企業に過重な負担の恐れ
2024年10月17日
2025年の日本経済見通し
1%台半ばのプラス成長を見込むも「トランプ2.0」で不確実性大きい
2024年12月20日
「トランプ関税2.0」による日本経済への影響試算
中間財の出荷減や米国等の景気悪化で日本の実質GDPは最大▲1.4%
2024年12月18日
課税最低限「103万円の壁」引上げによる家計と財政への影響試算(第3版)
様々な物価・賃金指標を用いる案および住民税分離案を検証
2024年12月04日
長寿化で増える認知症者の金融資産残高の将来推計
金融犯罪を含む金融面の課題やリスクへの対応も重要
2024年12月20日
石破政権の看板政策「2020年代に最低賃金1500円」は達成可能?
極めて達成困難な目標で、地方経済や中小企業に過重な負担の恐れ
2024年10月17日