サマリー
◆2021年12月10日に自由民主党・公明党は「令和4年度税制改正大綱」(以下、大綱)を取りまとめた。格差是正の観点から、全体として課税強化方向での相続税・贈与税の見直しを行う方向性が強まり、その第一歩として住宅取得等資金の贈与税非課税措置の非課税限度額の縮小を行うとしている。
◆直系尊属から住宅取得等資金の贈与を受けた場合の贈与税非課税措置につき、消費税率10%を適用した場合の非課税限度額の上乗せ部分の廃止などをした上で、2023年12月末まで適用期限が2年延長される。
◆前年度大綱でも挙げられていた相続・贈与税に関する検討課題として、資産移転の時期により大きな税負担の差が生じない仕組み(資産移転時期の選択に中立的な税制)の構築がある。大綱では、前年度大綱と比べ、この検討課題につき、格差の固定化防止の観点からより具体的な論点が示されており、見直しの可能性がさらに高まったものと思われる。資産移転時期の選択に中立的な税制の構築が行われた場合、相続・贈与をサポートする金融機関のビジネスにも影響を与えるものと思われる。
このコンテンツの著作権は、株式会社大和総研に帰属します。著作権法上、転載、翻案、翻訳、要約等は、大和総研の許諾が必要です。大和総研の許諾がない転載、翻案、翻訳、要約、および法令に従わない引用等は、違法行為です。著作権侵害等の行為には、法的手続きを行うこともあります。また、掲載されている執筆者の所属・肩書きは現時点のものとなります。
執筆者のおすすめレポート
-
相続税・贈与税を「資産移転の時期の選択に中立的」にすると何が変わるのか?
税負担を抑える余地が少なくなり、増税方向の改正となる可能性あり
2021年02月24日
-
贈与税非課税制度改正案
制度の趣旨に沿った贈与であれば、ほぼ改正の影響なし
2021年02月05日
-
控除額は全体として縮小、省エネ住宅に重点化した制度に
令和4年度税制改正大綱解説—住宅ローン減税
2021年12月14日
関連のレポート・コラム
最新のレポート・コラム
-
米GDP 前期比年率+2.8%と加速
2024年4-6月期米GDP:内需主導での堅調さを維持
2024年07月26日
-
監査・ガバナンス強化へ回帰する英国
昨年撤回した監査強化方針を復活し、ガバナンス・コードも厳格化へ
2024年07月25日
-
女性がキャリアを築ける職場ほど、子どもを持ちやすい
健保組合ごとの被保険者・被扶養者の出生率と、その要因の多変量解析
2024年07月24日
-
GX経済移行債に期待されるインパクトレポーティング
~GXの理解醸成促進に向けて~『大和総研調査季報』2024年夏季号(Vol.55)掲載
2024年07月24日
-
盛り上がりに欠ける英国の政権交代
2024年07月26日
よく読まれているリサーチレポート
-
「国債買入減額+利上げ」だけで長期金利は2%超えか
シナリオ別に見た日銀の国債買入減額による長期金利への影響試算
2024年06月12日
-
信用リスク・アセットの算出手法の見直し(確定版)
国際行等は24年3月期、内部モデルを用いない国内行は25年3月期から適用
2022年07月04日
-
第221回日本経済予測(改訂版)
賃上げ・物価高の先にある経済の姿と課題は?①賃上げ効果、②貿易デジタル赤字、③トランプリスク、を検証
2024年06月10日
-
「事業性融資の推進等に関する法律案」概要
事業性に着目した企業価値担保権の創設
2024年05月30日
-
バーゼルⅢ最終化による自己資本比率への影響の試算
標準的手法採用行では、自己資本比率が1%pt程度低下する可能性
2024年02月02日
「国債買入減額+利上げ」だけで長期金利は2%超えか
シナリオ別に見た日銀の国債買入減額による長期金利への影響試算
2024年06月12日
信用リスク・アセットの算出手法の見直し(確定版)
国際行等は24年3月期、内部モデルを用いない国内行は25年3月期から適用
2022年07月04日
第221回日本経済予測(改訂版)
賃上げ・物価高の先にある経済の姿と課題は?①賃上げ効果、②貿易デジタル赤字、③トランプリスク、を検証
2024年06月10日
「事業性融資の推進等に関する法律案」概要
事業性に着目した企業価値担保権の創設
2024年05月30日
バーゼルⅢ最終化による自己資本比率への影響の試算
標準的手法採用行では、自己資本比率が1%pt程度低下する可能性
2024年02月02日