サマリー
◆令和2年度税制改正大綱(自由民主党・公明党)において、退職一時金の課税について、「勤続期間が20年を超えると一年あたりの控除額が増加する仕組みとなっており、転職などの増加に対して対応していないといった指摘もある」と記載された。
◆現行の退職一時金に対する課税では、勤続年数が20年を超えた部分に対し優遇された控除を受けることができる。そのため転職の有無により税負担が変わる可能性があり、働き方に中立でない面がある。本稿では、働き方に中立にするために、退職一時金の課税を改めるとした場合に、どのような改正案が考えられるのかを検討した。
◆改正案としては、勤続1年あたり一律の退職所得控除額を適用する案が考えられる。本稿では、1年あたりの控除額を一律40万円にした場合と一律50万円にした場合で、現行制度と比べた税負担の増減を試算した。一律40万円にした場合は、税負担が減る者は生じず、勤続20年超で増税となる者が生じる。一律50万円とした場合は、勤続年数が30年超で増税となる者が生じる一方、勤続30年未満で減税となる者が生じる。
◆改正にあたっては、退職一時金の過去の勤務に対する「後払いの報酬」としての性質や、老後資金としての性質を踏まえ、経過措置を設けることや、退職一時金受取時に一定額をiDeCoに拠出できるようにすることなども考えられる。
このコンテンツの著作権は、株式会社大和総研に帰属します。著作権法上、転載、翻案、翻訳、要約等は、大和総研の許諾が必要です。大和総研の許諾がない転載、翻案、翻訳、要約、および法令に従わない引用等は、違法行為です。著作権侵害等の行為には、法的手続きを行うこともあります。また、掲載されている執筆者の所属・肩書きは現時点のものとなります。
同じカテゴリの最新レポート
-
ベストオーナー税制の論点
事業譲渡への税制措置による企業の選択肢拡大に期待
2026年10月30日
-
マル優・NISA等の非課税制度が家計金融資産に及ぼした影響の長期分析
~家計の国債保有優遇策の検討に向けた政策的示唆~『大和総研調査季報』2026年秋季号(Vol.64)掲載
2026年10月26日
-
飲食料品消費税率引下げによる事業者への影響
税制や予算の特例により事業者への影響を抑える方針
2026年10月14日
最新のレポート・コラム
よく読まれているリサーチレポート
-
日本の長期金利、2035年に5%台の可能性
2035年に3.5~4.2%程度で、海外保有拡大で1%pt超の上乗せも
2026年10月16日
-
増える高齢富裕層とその地域分布
高齢富裕層はどこにいるのか、その資産は今後どこへ向かうのか
2026年10月01日
-
金利上昇と「資本コストや株価を意識した経営」
金利上昇による資本コスト上昇は限定的だが引き続き要注視
2026年10月13日
-
預貸率における地域間格差
東京都への一極集中と地域金融機関に期待される対応
2026年10月02日
-
飲食料品の消費減税による消費行動への影響
買い控え・反動増は限定的。外食支援策は実態を見極めた対応を
2026年10月19日
日本の長期金利、2035年に5%台の可能性
2035年に3.5~4.2%程度で、海外保有拡大で1%pt超の上乗せも
2026年10月16日
増える高齢富裕層とその地域分布
高齢富裕層はどこにいるのか、その資産は今後どこへ向かうのか
2026年10月01日
金利上昇と「資本コストや株価を意識した経営」
金利上昇による資本コスト上昇は限定的だが引き続き要注視
2026年10月13日
預貸率における地域間格差
東京都への一極集中と地域金融機関に期待される対応
2026年10月02日
飲食料品の消費減税による消費行動への影響
買い控え・反動増は限定的。外食支援策は実態を見極めた対応を
2026年10月19日

