サマリー
◆2017年12月22日(米国時間)、既に議会を通過していた税制改革法案(Tax Cuts and Jobs Act)にトランプ大統領が署名したことにより、約30年ぶりの税制抜本改革が実現することになった。2018年より個人の連邦所得税の最高税率が現行の39.6%から37%に引き下げられるほか、現行35%の連邦法人税率が21%に引き下げられる。
◆議会両院税制合同委員会(Joint Committee on Taxation)が示した試算によれば、税制改革により、2018年度から2027年度の連邦財政収支は累積で1兆4,560億ドル悪化することが見込まれている。内訳では、個人税制の変更により1兆1,266億ドル、法人税制の変更により6,538億ドルそれぞれ財政収支が悪化することが見込まれている。
◆米国シンクタンクなどが試算する税制改革の効果を見ると、実質GDP成長率の押し上げは、今後10年間の平均で0.0~+0.3%pt程度とされており、減税規模に対してその経済効果は小さい。
◆減税規模が大きい個人税制では、特に富裕層への恩恵が大きいことが、経済効果を限定させる要因になると見込まれる。法人税制に関しては、現状、米国企業は総じてキャッシュフローに余裕があるため、法人税率の引き下げ、即時償却によって資本コストが低下したとしても設備投資を喚起する効果は限定的に留まると考えられる。
このコンテンツの著作権は、株式会社大和総研に帰属します。著作権法上、転載、翻案、翻訳、要約等は、大和総研の許諾が必要です。大和総研の許諾がない転載、翻案、翻訳、要約、および法令に従わない引用等は、違法行為です。著作権侵害等の行為には、法的手続きを行うこともあります。また、掲載されている執筆者の所属・肩書きは現時点のものとなります。
同じカテゴリの最新レポート
-
2012~2024年の家計実質可処分所得の推計
2024年は実質賃金増と定額減税で実質可処分所得が増加
2025年04月11日
-
「103万円の壁」与党修正案の家計とマクロ経済への影響試算(第5版)
所得税の課税最低限を160万円まで引き上げる与党修正案を分析
2025年03月19日
-
平成以降の家計の税・社会保険料負担の推移
『大和総研調査季報』2025年新春号(Vol.57)掲載
2025年01月24日
最新のレポート・コラム
よく読まれているリサーチレポート
-
「相互関税」による日本の実質GDPへの影響は最大で▲1.8%
日本に対する相互関税率は24%と想定外に高い水準
2025年04月03日
-
「相互関税」を受け、日米欧中の経済見通しを下方修正
2025年の実質GDP成長率見通しを0.4~0.6%pt引き下げ
2025年04月04日
-
米国による25%の自動車関税引き上げが日本経済に与える影響
日本の実質GDPを0.36%押し下げる可能性
2025年03月27日
-
2025年の日本経済見通し
1%台半ばのプラス成長を見込むも「トランプ2.0」で不確実性大きい
2024年12月20日
-
日本経済見通し:2025年3月
トランプ関税で不確実性高まる中、25年の春闘賃上げ率は前年超えへ
2025年03月24日
「相互関税」による日本の実質GDPへの影響は最大で▲1.8%
日本に対する相互関税率は24%と想定外に高い水準
2025年04月03日
「相互関税」を受け、日米欧中の経済見通しを下方修正
2025年の実質GDP成長率見通しを0.4~0.6%pt引き下げ
2025年04月04日
米国による25%の自動車関税引き上げが日本経済に与える影響
日本の実質GDPを0.36%押し下げる可能性
2025年03月27日
2025年の日本経済見通し
1%台半ばのプラス成長を見込むも「トランプ2.0」で不確実性大きい
2024年12月20日
日本経済見通し:2025年3月
トランプ関税で不確実性高まる中、25年の春闘賃上げ率は前年超えへ
2025年03月24日