サマリー
◆2017年4月26日(米国時間)、トランプ政権は税制改革案を公表した。連邦所得税及び連邦法人税共に、米国史上最大の税制改革と銘打っており、ほぼ減税項目ばかりが並ぶ内容となった。ただし、トランプ大統領が選挙期間中に主張していたものより簡素な内容となっている。今後、5月に公表される予定の予算教書に盛り込まれるであろう税制改革案の詳細を見なければ、その評価は難しい。
◆個人の連邦所得税に対する改革案については、最高税率を現行の39.6%から35%に引き下げ、税率構造(ブラケット)を現行の7段階から10%、25%、35%の3段階にして簡素化するとともに、基礎控除を2倍にするとしている。
◆連邦法人税については、世界で最も高いとされる現行の35%から、世界で最も低いとされる15%に引き下げるとしており、パススルー事業体に対する課税についても、同様に15%に引き下げるとしている。なお、税制改革案には、共和党が主張するいわゆる法人税の国境調整(border adjustment)は盛り込まれていない。ただ、これをもって国境調整の導入がなくなったと考えるのは尚早である。今後、共和党が提出する税制改革案に、わが国企業にも影響がある国境調整が盛り込まれる可能性もあり、引き続き注視しなければならない。
このコンテンツの著作権は、株式会社大和総研に帰属します。著作権法上、転載、翻案、翻訳、要約等は、大和総研の許諾が必要です。大和総研の許諾がない転載、翻案、翻訳、要約、および法令に従わない引用等は、違法行為です。著作権侵害等の行為には、法的手続きを行うこともあります。また、掲載されている執筆者の所属・肩書きは現時点のものとなります。
執筆者のおすすめレポート
同じカテゴリの最新レポート
-
金融庁、NISAのこども支援措置・投資商品入替措置などを要望
令和8年度税制改正要望—NISAの全世代化に向けた取組みが続く
2025年09月11日
-
道府県民税利子割への清算制度導入を提言
令和8年度税制改正での実現は不透明な情勢
2025年08月13日
-
2012~2024年の家計実質可処分所得の推計
2024年は実質賃金増と定額減税で実質可処分所得が増加
2025年04月11日
最新のレポート・コラム
よく読まれているリサーチレポート
-
2025年度の最低賃金は1,100円超へ
6%程度の引き上げが目安か/欧州型目標の扱いや地方での議論も注目
2025年07月16日
-
2025年ジャクソンホール会議の注目点は?
①利下げ再開の可能性示唆、②金融政策枠組みの見直し
2025年08月20日
-
既に始まった生成AIによる仕事の地殻変動
静かに進む、ホワイトカラー雇用の構造変化
2025年08月04日
-
米雇用者数の下方修正をいかに解釈するか
2025年7月米雇用統計:素直に雇用環境の悪化を警戒すべき
2025年08月04日
-
中国:2025年と今後10年の長期経済見通し
25年:2つの前倒しの反動。長期:総需要減少と過剰投資・債務問題
2025年01月23日
2025年度の最低賃金は1,100円超へ
6%程度の引き上げが目安か/欧州型目標の扱いや地方での議論も注目
2025年07月16日
2025年ジャクソンホール会議の注目点は?
①利下げ再開の可能性示唆、②金融政策枠組みの見直し
2025年08月20日
既に始まった生成AIによる仕事の地殻変動
静かに進む、ホワイトカラー雇用の構造変化
2025年08月04日
米雇用者数の下方修正をいかに解釈するか
2025年7月米雇用統計:素直に雇用環境の悪化を警戒すべき
2025年08月04日
中国:2025年と今後10年の長期経済見通し
25年:2つの前倒しの反動。長期:総需要減少と過剰投資・債務問題
2025年01月23日