サマリー
◆2014年7月から、英国のISA(Individual Savings Account)が大幅拡充される。年間の拠出限度額は約30%増加し、15,000£(約250万円)となる。また、従来は株式型ISAでは低リスクの投資信託や償還まで5年以内の公社債などは購入できなかったが、これらも購入可能となる。このため、今後は、株式型ISAで株式、公社債、投資信託、預貯金、保険といった幅広い金融商品を1口座で一体的に非課税で運用することが可能となる。
◆そもそも英国のISAでは口座への「拠出額」で非課税枠を管理するため、分配金や売却代金を使って再投資しても非課税枠を消費しない設計になっているなど、日本のNISAと比べ英国のISAは利便性が高い。
◆英国のISAの利便性がさらに高まると、相対的に日本のNISAの使いづらい面が目立つこととなり、NISAの制度拡充の議論にも影響を与えるだろう。もっとも日本のNISAの使いづらい点のうちの多くは日本の投資家および金融機関が乗り越えるべき課題とともに設定されている面もある。NISAの制度拡充に向けてはこれらの課題をクリアすることが重要となるだろう。
このコンテンツの著作権は、株式会社大和総研に帰属します。著作権法上、転載、翻案、翻訳、要約等は、大和総研の許諾が必要です。大和総研の許諾がない転載、翻案、翻訳、要約、および法令に従わない引用等は、違法行為です。著作権侵害等の行為には、法的手続きを行うこともあります。また、掲載されている執筆者の所属・肩書きは現時点のものとなります。
執筆者のおすすめレポート
-
ジュニアNISAの創設と投資限度額の拡大
平成27年度税制改正大綱各論①~NISA関連
2015年02月10日
-
金融庁、ジュニアNISA創設を要望
平成27年度税制改正要望①~金融庁(NISA関連)
2014年09月19日
-
なぜこのような制度になったのか?-それには理由があります-
なるほどNISA 第5回
2014年03月10日
-
英国のISAとの制度比較
なるほどNISA 第4回
2014年02月13日
-
なぜ、どのような経緯でNISAが導入されたか?
なるほどNISA 第3回
2014年02月04日
同じカテゴリの最新レポート
-
2012~2024年の家計実質可処分所得の推計
2024年は実質賃金増と定額減税で実質可処分所得が増加
2025年04月11日
-
「103万円の壁」与党修正案の家計とマクロ経済への影響試算(第5版)
所得税の課税最低限を160万円まで引き上げる与党修正案を分析
2025年03月19日
-
平成以降の家計の税・社会保険料負担の推移
『大和総研調査季報』2025年新春号(Vol.57)掲載
2025年01月24日
最新のレポート・コラム
よく読まれているリサーチレポート
-
トランプ関税で日本経済は「漁夫の利」を得られるか?
広範な関税措置となっても代替需要の取り込みで悪影響が緩和
2025年03月03日
-
地方創生のカギとなる非製造業の生産性向上には何が必要か?
業種ごとの課題に応じたきめ細かい支援策の組み合わせが重要
2025年03月12日
-
中国:全人代2025・政府活動報告を読み解く
各種「特別」債で金融リスク低減と内需拡大を狙う
2025年03月06日
-
中国:2025年と今後10年の長期経済見通し
25年:2つの前倒しの反動。長期:総需要減少と過剰投資・債務問題
2025年01月23日
-
2025年の日本経済見通し
1%台半ばのプラス成長を見込むも「トランプ2.0」で不確実性大きい
2024年12月20日
トランプ関税で日本経済は「漁夫の利」を得られるか?
広範な関税措置となっても代替需要の取り込みで悪影響が緩和
2025年03月03日
地方創生のカギとなる非製造業の生産性向上には何が必要か?
業種ごとの課題に応じたきめ細かい支援策の組み合わせが重要
2025年03月12日
中国:全人代2025・政府活動報告を読み解く
各種「特別」債で金融リスク低減と内需拡大を狙う
2025年03月06日
中国:2025年と今後10年の長期経済見通し
25年:2つの前倒しの反動。長期:総需要減少と過剰投資・債務問題
2025年01月23日
2025年の日本経済見通し
1%台半ばのプラス成長を見込むも「トランプ2.0」で不確実性大きい
2024年12月20日