サマリー
◆2013年3月29日、「所得税法等の一部を改正する法律」(平成25年度税制改正法)が参議院にて可決・成立し、3月30日に公布された。また、関連する政省令の改正も行われている。本稿は、平成25年度税制改正のうち、金融所得課税の一体化(法人投資家に関連するもの)について解説する。
◆法人が利付債の利子を受け取る際に特別徴収されている、道府県民税利子割が廃止される。これに伴い、道府県民税法人税割からの道府県民税利子割の控除等も廃止される。
◆指定金融機関等が利付債の利子を受け取る場合、自己の保有期間にかかわらず、利子の全額が源泉徴収不適用となる。これにより、利付債の流通市場における「課税玉」と「非課税玉」の分断が解消されるものと考えられる。
◆普通法人等が利付債の利子を受け取った場合、自己の保有期間にかかわらず、源泉徴収された所得税額等の全額を法人税額等から控除できるようになる。
◆割引債の発行時の源泉徴収は廃止される。一方、一般社団法人等については、個人と同様に割引債の償還時の源泉徴収が行われる。この場合、「みなし償還差益」が用いられる場合と、実際の償還差益が用いられる場合とがある。
◆これらの改正の施行日は、原則として平成28(2016)年1月1日である。
このコンテンツの著作権は、株式会社大和総研に帰属します。著作権法上、転載、翻案、翻訳、要約等は、大和総研の許諾が必要です。大和総研の許諾がない転載、翻案、翻訳、要約、および法令に従わない引用等は、違法行為です。著作権侵害等の行為には、法的手続きを行うこともあります。また、掲載されている執筆者の所属・肩書きは現時点のものとなります。
執筆者のおすすめレポート
-
利付債の経過利子の計算方法の改正
利払日が平成28年1月1日以後となる経過利子から順次改正
2013年08月21日
-
公社債税制の抜本改正(個人投資家編)<訂正版>
2016年から株式等と一体化
2013年06月03日
同じカテゴリの最新レポート
-
金融庁、NISAのこども支援措置・投資商品入替措置などを要望
令和8年度税制改正要望—NISAの全世代化に向けた取組みが続く
2025年09月11日
-
道府県民税利子割への清算制度導入を提言
令和8年度税制改正での実現は不透明な情勢
2025年08月13日
-
2012~2024年の家計実質可処分所得の推計
2024年は実質賃金増と定額減税で実質可処分所得が増加
2025年04月11日
最新のレポート・コラム
よく読まれているリサーチレポート
-
第226回日本経済予測(改訂版)
低成長・物価高の日本が取るべき政策とは?①格差問題、②財政リスク、を検証
2025年09月08日
-
聖域なきスタンダード市場改革議論
上場維持基準などの見直しにも言及
2025年09月22日
-
今後の証券業界において求められる不正アクセス等防止策とは
金融庁と日本証券業協会がインターネット取引の新指針案を公表
2025年09月01日
-
日本経済見通し:2025年9月
トランプ関税で対米輸出が大幅減、製造業や賃上げ等への影響は?
2025年09月25日
-
中国:2025年と今後10年の長期経済見通し
25年:2つの前倒しの反動。長期:総需要減少と過剰投資・債務問題
2025年01月23日
第226回日本経済予測(改訂版)
低成長・物価高の日本が取るべき政策とは?①格差問題、②財政リスク、を検証
2025年09月08日
聖域なきスタンダード市場改革議論
上場維持基準などの見直しにも言及
2025年09月22日
今後の証券業界において求められる不正アクセス等防止策とは
金融庁と日本証券業協会がインターネット取引の新指針案を公表
2025年09月01日
日本経済見通し:2025年9月
トランプ関税で対米輸出が大幅減、製造業や賃上げ等への影響は?
2025年09月25日
中国:2025年と今後10年の長期経済見通し
25年:2つの前倒しの反動。長期:総需要減少と過剰投資・債務問題
2025年01月23日