インサイダー取引規制における「決定」と実現可能性

いわゆる村上ファンド事件最高裁決定

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サマリー

◆投資ファンドによるインサイダー取引事件(いわゆる村上ファンド事件)について、2011年6月6日、最高裁は被告人側の上告を棄却する決定を下した。その結果、ファンド会社元代表らに対する控訴審の有罪判決が確定する。

◆決定理由の中で、最高裁は、公開買付者等関係者についてのインサイダー取引規制違反が成立するためには、「公開買付け等の実現可能性があることが具体的に認められることは要しない」との見解を明らかにした。

◆これを受けて、今後の上場会社や金融機関などにおけるM&Aやコンプライアンス実務において大きな影響が生じるとの指摘もなされている。

◆ただし、最高裁は「公開買付け等を行うことについての決定」があったというためには、「実現を意図」したものであることを要求しており、その意味では、一定の実現可能性が考慮される余地はあるようにも思われる。

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