2015年03月26日
サマリー
◆2014年12月22日、バーゼル銀行監督委員会(BCBS)は、市中協議文書「信用リスクに係る標準的手法の見直し」(市中協議文書)を公表している(コメント提出期限は2015年3月27日)。
◆市中協議文書は、バーゼルⅡの合意(2004年)以降初めて、信用リスクに係る標準的手法に抜本的な改訂を施す旨提案するものである。
◆市中協議文書では、標準的手法における銀行向け債権の取扱いについて、貸出先の銀行の外部格付や設立地のソブリンの外部格付を参照するのではなく、「普通株式等Tier 1比率」及び「不良資産比率」によりリスク・ウェイト(30%から300%の範囲)を決定することを提案している。
◆また、標準的手法における法人向け債権のうちシニア債の取扱いについて、貸出先の法人の外部格付を参照するのではなく、「売上高」及び「レバレッジ」によりリスク・ウェイト(60%から300%の範囲)を決定する旨提案している。
◆BCBSは、市中協議文書へのコメント及び定量的影響度調査(QIS)を踏まえ、2015年末を目途に最終規則を公表する見込みである。
◆新たな標準的手法に基づくバーゼル規制の具体的な適用時期は未定であるが、BCBSは、十分な時間をかけて導入することとしている(必要な場合は経過措置を設定)。
◆市中協議文書の内容は、標準的手法採用行のみならず、内部格付手法採用行にも重大な関心事である。というのも、BCBSは、市中協議文書と同日に、内部格付手法に対して標準的手法に基づく資本フロアを設定する旨も提案しているためである。
このコンテンツの著作権は、株式会社大和総研に帰属します。著作権法上、転載、翻案、翻訳、要約等は、大和総研の許諾が必要です。大和総研の許諾がない転載、翻案、翻訳、要約、および法令に従わない引用等は、違法行為です。著作権侵害等の行為には、法的手続きを行うこともあります。また、掲載されている執筆者の所属・肩書きは現時点のものとなります。
執筆者のおすすめレポート
同じカテゴリの最新レポート
-
自己資本比率規制における内部格付手法の影響
内部格付手法採用行は自己資本比率の分母を7割程度に圧縮
2025年03月10日
-
バーゼルⅢ最終化による自己資本比率への影響の試算
標準的手法採用行では、自己資本比率が1%pt程度低下する可能性
2024年02月02日
-
SFDRのQ&A、9条ファンドの要件緩和へ
「格下げ」のトレンドは終焉し、パッシブ・ファンドが増加するか
2023年05月25日
最新のレポート・コラム
よく読まれているリサーチレポート
-
第226回日本経済予測(改訂版)
低成長・物価高の日本が取るべき政策とは?①格差問題、②財政リスク、を検証
2025年09月08日
-
聖域なきスタンダード市場改革議論
上場維持基準などの見直しにも言及
2025年09月22日
-
今後の証券業界において求められる不正アクセス等防止策とは
金融庁と日本証券業協会がインターネット取引の新指針案を公表
2025年09月01日
-
日本経済見通し:2025年9月
トランプ関税で対米輸出が大幅減、製造業や賃上げ等への影響は?
2025年09月25日
-
中国:2025年と今後10年の長期経済見通し
25年:2つの前倒しの反動。長期:総需要減少と過剰投資・債務問題
2025年01月23日
第226回日本経済予測(改訂版)
低成長・物価高の日本が取るべき政策とは?①格差問題、②財政リスク、を検証
2025年09月08日
聖域なきスタンダード市場改革議論
上場維持基準などの見直しにも言及
2025年09月22日
今後の証券業界において求められる不正アクセス等防止策とは
金融庁と日本証券業協会がインターネット取引の新指針案を公表
2025年09月01日
日本経済見通し:2025年9月
トランプ関税で対米輸出が大幅減、製造業や賃上げ等への影響は?
2025年09月25日
中国:2025年と今後10年の長期経済見通し
25年:2つの前倒しの反動。長期:総需要減少と過剰投資・債務問題
2025年01月23日