女性役員比率の現状と今後の課題

TOPIX500構成企業を対象に集計・分析

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  • 金融調査部 研究員 藤野 大輝
  • リサーチ業務部 大和 敦

サマリー

◆プライム市場上場企業は2030年までに女性役員比率を30%以上とすることを目指すこととされている。また、機関投資家も投資判断や議決権行使において、女性役員比率を考慮している。

◆TOPIX500構成企業(2024年6月末時点)493社における取締役、監査役、執行役の女性比率を集計・分析したところ、女性役員比率は平均で19%となっていた。ただし、社内取締役に限ると女性比率は4%であり(社外取締役の女性比率は37%)、社内取締役の女性比率を高めていくことが今後の課題の一つと考えられる。

◆女性役員比率以外の企業の多様性指標について、平均して女性管理職比率が10%、男性の育児休業取得率が74%、男女間賃金格差が72%となっていた。女性が働きやすい環境を整備し、女性役員を増やしていき、女性役員が増えることで多様な視点から女性が働きやすい環境の整備がさらに進むというサイクルを円滑に回していくことが重要だろう。

◆女性役員比率の高い企業グループほど、ROE(自己資本利益率)、PBR(株価純資産倍率)などの値が高かった。女性役員比率の向上に伴い、多様な視点に基づく経営の実施や、女性が働きやすい環境の整備により、企業の価値向上、持続的成長が実現することが期待される。

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