サマリー
◆2025年9月16日・17日に開催されたFOMC(連邦公開市場委員会)では、2024年12月以来となる利下げが決定された。政策金利であるFF(フェデラルファンド)レートの誘導目標レンジは4.25-4.50%から4.00-4.25%と0.25%pt引き下げられた。雇用環境の悪化傾向が鮮明になる中で、市場は9月FOMCでの利下げ決定を織り込んでいたことから、サプライズはない。
◆今回公表されたドットチャートの中央値ベースでは、2025年内残り二回のFOMCで合計0.50%pt(今回の利下げも合わせれば、2025年内は合計0.75%pt)、2026年・2027年はそれぞれ0.25%ptずつの利下げが示された。2025年の利下げ幅が拡大したことで、全体の利下げペースがやや速まったものの、2026年以降の利下げ幅は前回(6月)から変化はない。
◆2026年以降の利下げペースが緩やかである背景には、2026年を中心とした景気・雇用見通しの改善方向への修正に加え、2026年のインフレ率の上方修正がある。FOMCとしては、足元の雇用環境の下振れリスクを考慮して当面は利下げを実施するが、関税によるインフレ率への影響が後ずれし得ることを意識しながら、2026年は漸進的なペースで利下げを行うということだろう。
◆市場(FF先物)の想定を見ると、2025年の利下げ幅はFOMC参加者と一致しているが、2026年は合計0.75%ptと乖離している。この背景には、2026年のFOMC参加者の構成がより利下げに親和的なメンバーへと変化することを想定している可能性がある。利下げを要求するトランプ大統領の圧力が増す中で、市場としては2026年以降も複数回の利下げを織り込まざるを得ないとも考えられる。
◆先行きの利下げペースの不透明感が強い中で、市場において特に注意しておくべきはインフレ動向だ。企業のコスト吸収余力の低下や、ドル安がタイムラグをもって仕入コストを押し上げることで、インフレ再加速リスクは高く、市場の利下げ織り込みを修正させる可能性があるだろう。
このコンテンツの著作権は、株式会社大和総研に帰属します。著作権法上、転載、翻案、翻訳、要約等は、大和総研の許諾が必要です。大和総研の許諾がない転載、翻案、翻訳、要約、および法令に従わない引用等は、違法行為です。著作権侵害等の行為には、法的手続きを行うこともあります。また、掲載されている執筆者の所属・肩書きは現時点のものとなります。
同じカテゴリの最新レポート
-
米国経済見通し 利上げの理由を問う
ファイティングポーズ?中立金利の上昇?不安定な期待インフレ?
2026年09月18日
-
共和党大会で読み解く米中間選挙の注目点
「トランプ大統領の選挙」との位置付けは、諸刃の剣か
2026年09月18日
-
FOMC 約3年ぶりに0.25%ptの利上げを決定
FOMC参加者は2026年内に0.25%ptの追加利上げを予想
2026年09月17日
最新のレポート・コラム
よく読まれているリサーチレポート
-
2026年ジャクソンホール会議の注目点は?
ウォーシュ議長はインフレ抑止に対する姿勢を明確に打ち出すか
2026年08月20日
-
“TACO”指数で読む トランプ大統領の“TACO”化の兆し
市場と世論が映す政策転換のサイン
2026年08月13日
-
高市政権誕生後の長期金利をどうみるか
2035年に3.3~4.0%程度で、海外保有拡大で更なる上昇も
2026年08月12日
-
第230回日本経済予測
円安・金利上昇下の日本経済と成長力強化への課題①AI活用による経済への影響、②資産市場と経済の好循環、を検証
2026年08月21日
-
GPIFガバナンス改革の功罪と課題解決の道
目先の運用見直しの可能性は低いが、硬直的運用への対応が課題
2026年08月13日
2026年ジャクソンホール会議の注目点は?
ウォーシュ議長はインフレ抑止に対する姿勢を明確に打ち出すか
2026年08月20日
“TACO”指数で読む トランプ大統領の“TACO”化の兆し
市場と世論が映す政策転換のサイン
2026年08月13日
高市政権誕生後の長期金利をどうみるか
2035年に3.3~4.0%程度で、海外保有拡大で更なる上昇も
2026年08月12日
第230回日本経済予測
円安・金利上昇下の日本経済と成長力強化への課題①AI活用による経済への影響、②資産市場と経済の好循環、を検証
2026年08月21日
GPIFガバナンス改革の功罪と課題解決の道
目先の運用見直しの可能性は低いが、硬直的運用への対応が課題
2026年08月13日

