FOMC 0.25%ptの利下げを決定

先行きの利下げペースに関しては予想がばらつく

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2025年09月18日

  • 経済調査部 主任研究員 矢作 大祐
  • ニューヨークリサーチセンター 研究員(NY駐在) 藤原 翼

サマリー

◆2025年9月16日・17日に開催されたFOMC(連邦公開市場委員会)では、2024年12月以来となる利下げが決定された。政策金利であるFF(フェデラルファンド)レートの誘導目標レンジは4.25-4.50%から4.00-4.25%と0.25%pt引き下げられた。雇用環境の悪化傾向が鮮明になる中で、市場は9月FOMCでの利下げ決定を織り込んでいたことから、サプライズはない。

◆今回公表されたドットチャートの中央値ベースでは、2025年内残り二回のFOMCで合計0.50%pt(今回の利下げも合わせれば、2025年内は合計0.75%pt)、2026年・2027年はそれぞれ0.25%ptずつの利下げが示された。2025年の利下げ幅が拡大したことで、全体の利下げペースがやや速まったものの、2026年以降の利下げ幅は前回(6月)から変化はない。

◆2026年以降の利下げペースが緩やかである背景には、2026年を中心とした景気・雇用見通しの改善方向への修正に加え、2026年のインフレ率の上方修正がある。FOMCとしては、足元の雇用環境の下振れリスクを考慮して当面は利下げを実施するが、関税によるインフレ率への影響が後ずれし得ることを意識しながら、2026年は漸進的なペースで利下げを行うということだろう。

◆市場(FF先物)の想定を見ると、2025年の利下げ幅はFOMC参加者と一致しているが、2026年は合計0.75%ptと乖離している。この背景には、2026年のFOMC参加者の構成がより利下げに親和的なメンバーへと変化することを想定している可能性がある。利下げを要求するトランプ大統領の圧力が増す中で、市場としては2026年以降も複数回の利下げを織り込まざるを得ないとも考えられる。

◆先行きの利下げペースの不透明感が強い中で、市場において特に注意しておくべきはインフレ動向だ。企業のコスト吸収余力の低下や、ドル安がタイムラグをもって仕入コストを押し上げることで、インフレ再加速リスクは高く、市場の利下げ織り込みを修正させる可能性があるだろう。

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