FOMC 様子見姿勢を継続

経済指標の基調の捉えにくさと正確性への懸念は利下げ遅延リスクを高める

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2025年06月19日

  • 経済調査部 主任研究員 矢作 大祐
  • ニューヨークリサーチセンター 研究員(NY駐在) 藤原 翼

サマリー

◆2025年6月17日・18日に開催されたFOMC(連邦公開市場委員会)では、政策金利であるFF(フェデラルファンド)レートの誘導目標レンジが4.25-4.50%と、4会合連続での据え置きとなった。今回の決定は市場参加者にとってサプライズとはならなかった。

◆今回公表されたFOMC参加者による経済見通し(SEP)では、実質GDP成長率と失業率は悪化方向に修正された一方で、インフレ率は高関税政策(トランプ関税)の影響で2025年内に再加速するとのシナリオが示されたといえる。2026年以降に関しても、景気・雇用環境の回復ペースは緩やかで、インフレ率もFRBの2%目標への回帰に時間を要することが示唆された。

◆また、FOMC参加者のFFレート予想であるドットチャート(中央値)も公表された。2025年に関しては中央値で見れば利下げペースに変化はないものの、FF金利の据え置きを想定するFOMC参加者が増えた。2026年以降は中央値ベースで利下げペースが鈍化してはいるものの、2025年のFF金利据え置きを予想するFOMC参加者が増えたことが影響していると考えられる。

◆追加関税措置等を巡って不確実性が高い中、FRBは様子見姿勢を継続している。こうした様子見姿勢を継続できるのも、景気の底堅さが背景にある。しかし、追加関税措置の本格化を前にした駆け込み消費やその反動などによって基調は捉えにくく、景気悪化の兆しを迅速に把握することが難しくなっている。また、インフレ率に関しても、足元でCPIの正確性に対する疑問が呈されている。そもそも不確実性が高いことに加え、経済指標の変動幅が拡大し景気悪化の兆しが捉えにくく、データの正確性にも懸念が強まっていることを踏まえれば、本来は政策対応(とりわけ、利下げ)が必要であってもFOMCの判断が遅延するリスクを認識しておくべきだろう。

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