サマリー
2024年11月5日に実施された米国大統領選挙は、共和党トランプ氏が勝利した。「トランプ2.0」では、大手銀行の資本規制は緩和、暗号資産ビジネスは奨励と、バイデン前政権とは180度異なる対応となりそうである。こうした転換が米国の金融ビジネスに与える影響は、当然大きいだろう。というのも、伝統的な銀行システムと暗号資産ビジネスの結合が進みそうだからである。
これらはいずれも、実体経済の活性化を企図したものであることが明らかである。ただ、懸案事項がないかといえば、そうではない。大手銀行の資本規制については、2023年3月の地方銀行危機の再来を未然に防止するための議論がされているようには見えない。ビットコインを準備資産として保有する枠組みについては、その大きな価格変動への懸念が拭えない。銀行による暗号資産カストディ業務への進出にあたっては、手厚い消費者保護が不可欠であるにもかかわらず、消費者金融保護局(CFPB)が事実上の閉鎖に追い込まれている。こうした懸案事項を制度的に織り込まないのであれば、米国株式市場に多大な負の影響をもたらす「危機」が起きる可能性が高い。
大和総研調査本部が長年にわたる知識と経験の蓄積を結集し、的確な現状分析に基づき、将来展望を踏まえた政策提言を積極的に発信していくとのコンセプトのもと、2011年1月に創刊いたしました。
このコンテンツの著作権は、株式会社大和総研に帰属します。著作権法上、転載、翻案、翻訳、要約等は、大和総研の許諾が必要です。大和総研の許諾がない転載、翻案、翻訳、要約、および法令に従わない引用等は、違法行為です。著作権侵害等の行為には、法的手続きを行うこともあります。また、掲載されている執筆者の所属・肩書きは現時点のものとなります。
同じカテゴリの最新レポート
-
米国の州年金基金とビットコイン現物ETF
「戦略的ビットコイン準備資産」の実現により保有ニーズが高まるか
2025年04月25日
-
米国経済見通し 高まるスタグフレーションリスク
2025年の実質GDP成長率見通しは前年比+1.3%に改定
2025年04月23日
-
トランプ減税2.0の注目ポイントは?
減税による景気下支えが期待されるものの、財政悪化が懸念材料
2025年04月22日
最新のレポート・コラム
よく読まれているリサーチレポート
-
トランプ関税で日本経済は「漁夫の利」を得られるか?
広範な関税措置となっても代替需要の取り込みで悪影響が緩和
2025年03月03日
-
地方創生のカギとなる非製造業の生産性向上には何が必要か?
業種ごとの課題に応じたきめ細かい支援策の組み合わせが重要
2025年03月12日
-
中国:全人代2025・政府活動報告を読み解く
各種「特別」債で金融リスク低減と内需拡大を狙う
2025年03月06日
-
中国:2025年と今後10年の長期経済見通し
25年:2つの前倒しの反動。長期:総需要減少と過剰投資・債務問題
2025年01月23日
-
2025年の日本経済見通し
1%台半ばのプラス成長を見込むも「トランプ2.0」で不確実性大きい
2024年12月20日
トランプ関税で日本経済は「漁夫の利」を得られるか?
広範な関税措置となっても代替需要の取り込みで悪影響が緩和
2025年03月03日
地方創生のカギとなる非製造業の生産性向上には何が必要か?
業種ごとの課題に応じたきめ細かい支援策の組み合わせが重要
2025年03月12日
中国:全人代2025・政府活動報告を読み解く
各種「特別」債で金融リスク低減と内需拡大を狙う
2025年03月06日
中国:2025年と今後10年の長期経済見通し
25年:2つの前倒しの反動。長期:総需要減少と過剰投資・債務問題
2025年01月23日
2025年の日本経済見通し
1%台半ばのプラス成長を見込むも「トランプ2.0」で不確実性大きい
2024年12月20日