「トランプ2.0」における米国金融規制の展望

~銀行システム、暗号資産ビジネスと結合か~『大和総研調査季報』2025年春季号(Vol.58)掲載

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2025年04月24日

  • ニューヨークリサーチセンター 主任研究員(NY駐在) 鈴木 利光

サマリー

2024年11月5日に実施された米国大統領選挙は、共和党トランプ氏が勝利した。「トランプ2.0」では、大手銀行の資本規制は緩和、暗号資産ビジネスは奨励と、バイデン前政権とは180度異なる対応となりそうである。こうした転換が米国の金融ビジネスに与える影響は、当然大きいだろう。というのも、伝統的な銀行システムと暗号資産ビジネスの結合が進みそうだからである。

これらはいずれも、実体経済の活性化を企図したものであることが明らかである。ただ、懸案事項がないかといえば、そうではない。大手銀行の資本規制については、2023年3月の地方銀行危機の再来を未然に防止するための議論がされているようには見えない。ビットコインを準備資産として保有する枠組みについては、その大きな価格変動への懸念が拭えない。銀行による暗号資産カストディ業務への進出にあたっては、手厚い消費者保護が不可欠であるにもかかわらず、消費者金融保護局(CFPB)が事実上の閉鎖に追い込まれている。こうした懸案事項を制度的に織り込まないのであれば、米国株式市場に多大な負の影響をもたらす「危機」が起きる可能性が高い。

大和総研調査季報 2025年春季号Vol.58

大和総研調査本部が長年にわたる知識と経験の蓄積を結集し、的確な現状分析に基づき、将来展望を踏まえた政策提言を積極的に発信していくとのコンセプトのもと、2011年1月に創刊いたしました。

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