サマリー
◆追加関税措置等を背景に、米国経済は景気悪化リスクに直面している。こうした中、景気の下支え策として、「トランプ減税2.0」への期待が高まっている。本稿では、トランプ減税2.0を巡る注目点として、今後のプロセス、減税の具体的な内容を概観し、期待される経済効果、減税を巡るリスク要因を分析した。
◆まず、減税を巡るプロセスに関しては、具体的な減税案を策定する前に必要な手続きとなる年次予算決議を4月に上下両院で可決した。今後は両院の各委員会で具体的な減税案を策定し、本会議で検討することになる。過去を振り返れば、2017年のトランプ減税1.0は年次予算決議の可決後、最短2カ月程度で可決・承認された。今回、トランプ政権は、減税に加え、債務上限問題の解決をパッケージで成立させることを目指しており、債務上限問題のタイムリミットである2025年7月までの法案の成立が見込まれる。
◆続いて、減税の中身に関しては、①2017年のトランプ減税1.0の延長/恒久化と、②社会保障給付・チップ・残業代の非課税化等を含む減税の深掘りに分けられる。トランプ政権案は①・②を合わせてプライマリー・バランスの赤字拡大幅が約7.8兆ドルと巨額となっている。他方、下院案は同約2.8兆ドル、上院案でも同約5.8兆ドルと乖離があることから、トランプ政権案の中で項目の取捨選択が行われると考えられる。
◆減税による経済効果に関しては、トランプ減税1.0の延長/恒久化に関しては、GDPを1%程度押し上げるとみられる。ただし、そのうち個人消費・相続関連規定は現行の施策の延長であり、短期的な景気の押し上げ効果は相対的に小さいと考えられる。短期的な景気の下支えという意味では、減税の深掘りが注目されるが、前述の通り、予算制約によって景気の押し上げ効果も縮小する可能性がある。
◆減税を巡るリスク要因として、財政悪化懸念がある。足元では、国債需給の悪化に伴い、10年債利回りが上昇した。減税等による財政悪化見込みなど、安全資産としての米国債の魅力が低下していると考えられる。米国の財政リスクを抑制するために、歳出削減に加え、減税規模に関しても縮小を検討する必要があるものの、同時に景気の押し上げ効果も抑制される。結局は、景気悪化懸念の根源である追加関税措置をマイルド化させ、大掛かりな景気対策の必要性を低下させられるかが重要といえる。
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