サマリー
◆2025年4月9日、トランプ大統領は「相互関税」に関して、報復措置を実施した中国に対する関税率を125%に引き上げ、それ以外の国・地域に対しては上乗せ税率の適用を90日間停止し、ベースラインの10%のみを課すと公表した。こうした「相互関税」の変更を踏まえ、米国の実質GDP・CPIへの影響を試算した結果、「相互関税」は米国の実質GDPを最大で0.5%程度下押しし、CPIを同0.9%程度押し上げることが想定される。当該試算結果は、今回の変更が公表される前の試算に比べて、GDPの下振れ幅が0.3%pt程度、インフレの上振れ幅が0.2%pt程度縮小することを意味する。
◆上乗せ税率の適用が一時停止されたことで、景気やインフレへの悪影響が当初に比べて軽減され得るとはいえ、米国経済の先行きの下振れリスクは高い。2025年4-6月期はインフレ圧力の増加によって内需が下押しされるとともに、駆け込み輸入の継続も想定され得る。アトランタ連銀が公表するGDPNowが2025年1-3月期のマイナス成長を予想していることに加え、4-6月期もマイナス成長となれば、米国経済がテクニカル・リセッション(2四半期連続でのマイナス成長)入りすることとなる。もっとも、内需に基づく実際の景気に比べて、輸入増に伴う下押しがマイナス成長を過度に強調しやすいことも念頭に置いておく必要がある。
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