サマリー
◆2024年12月17日・18日に開催されたFOMC(連邦公開市場委員会)では、政策金利であるFF(フェデラルファンド)レートの誘導目標レンジを0.25%pt引き下げ、従来の4.50-4.75%から4.25-4.50%へと変更した。11月のFOMCにおける0.25%ptの利下げに続き、3会合連続での利下げ実施となった。今回の決定は市場参加者にとってサプライズとはならなかった。
◆今回のFOMCではFOMC参加者による経済見通し(SEP)と、FOMC参加者のFFレート予想であるドットチャート(中央値)が公表された。SEPに関しては、雇用環境は前回(9月FOMC時点)の予想に比べて良好に推移し、景気全体も底堅く推移する一方、インフレ率の減速がこれまでの想定よりも緩やかなものに留まるとのシナリオが示された。
◆ドットチャートに関しては、2025年内の利下げ幅は0.50%ptと前回の予想に比べて縮小した。また、前回は2026年で利下げは完了との見立てだったが、2025年の利下げ幅が縮小されたことで、予想期間の2027年まで利下げが継続するとの見通しに変更された。景気やインフレに関する見通しが上方修正されたことに加え、不確実性の高まりによってFOMC参加者が利下げをより慎重に進めようとしていると考えられる。
◆2025年の金融政策運営に関しては、景気やインフレをいかに判断するか(=「データ次第」)だけでなく、トランプ新政権の経済政策(=「トランプ次第」)をいかに織り込むか、によっても左右される。また、2027年にかけて利下げを継続するとの見立てが示された一方で、FF金利の長期見通し(≒景気に中立的な金利)はジリジリと上昇している。中立金利の水準をFF金利の最終到達水準(ターミナルレート)と仮定すれば、インフレの減速ペースが緩やかになると想定される2025年において、FF金利の長期見通しがさらに上方修正され、将来の利下げ幅がさらに縮小する可能性があるだろう。
このコンテンツの著作権は、株式会社大和総研に帰属します。著作権法上、転載、翻案、翻訳、要約等は、大和総研の許諾が必要です。大和総研の許諾がない転載、翻案、翻訳、要約、および法令に従わない引用等は、違法行為です。著作権侵害等の行為には、法的手続きを行うこともあります。また、掲載されている執筆者の所属・肩書きは現時点のものとなります。
同じカテゴリの最新レポート
-
米国経済見通し 景気下振れの懸念強まる
雇用環境が悪化傾向を示す中、屋台骨の個人消費は楽観しづらい
2025年08月22日
-
2025年ジャクソンホール会議の注目点は?
①利下げ再開の可能性示唆、②金融政策枠組みの見直し
2025年08月20日
-
GENIUS法、銀行とステーブルコインの邂逅
ステーブルコインは支払決済手段として普及するのか?
2025年08月19日
最新のレポート・コラム
よく読まれているリサーチレポート
-
2025年度の最低賃金は1,100円超へ
6%程度の引き上げが目安か/欧州型目標の扱いや地方での議論も注目
2025年07月16日
-
2025年ジャクソンホール会議の注目点は?
①利下げ再開の可能性示唆、②金融政策枠組みの見直し
2025年08月20日
-
既に始まった生成AIによる仕事の地殻変動
静かに進む、ホワイトカラー雇用の構造変化
2025年08月04日
-
米雇用者数の下方修正をいかに解釈するか
2025年7月米雇用統計:素直に雇用環境の悪化を警戒すべき
2025年08月04日
-
中国:2025年と今後10年の長期経済見通し
25年:2つの前倒しの反動。長期:総需要減少と過剰投資・債務問題
2025年01月23日
2025年度の最低賃金は1,100円超へ
6%程度の引き上げが目安か/欧州型目標の扱いや地方での議論も注目
2025年07月16日
2025年ジャクソンホール会議の注目点は?
①利下げ再開の可能性示唆、②金融政策枠組みの見直し
2025年08月20日
既に始まった生成AIによる仕事の地殻変動
静かに進む、ホワイトカラー雇用の構造変化
2025年08月04日
米雇用者数の下方修正をいかに解釈するか
2025年7月米雇用統計:素直に雇用環境の悪化を警戒すべき
2025年08月04日
中国:2025年と今後10年の長期経済見通し
25年:2つの前倒しの反動。長期:総需要減少と過剰投資・債務問題
2025年01月23日