FOMC 3会合連続で利下げを決定

金融政策の先行きは「データ次第」に加え、「トランプ次第」か

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2024年12月19日

  • 経済調査部 主任研究員 矢作 大祐
  • ニューヨークリサーチセンター 研究員(NY駐在) 藤原 翼

サマリー

◆2024年12月17日・18日に開催されたFOMC(連邦公開市場委員会)では、政策金利であるFF(フェデラルファンド)レートの誘導目標レンジを0.25%pt引き下げ、従来の4.50-4.75%から4.25-4.50%へと変更した。11月のFOMCにおける0.25%ptの利下げに続き、3会合連続での利下げ実施となった。今回の決定は市場参加者にとってサプライズとはならなかった。

◆今回のFOMCではFOMC参加者による経済見通し(SEP)と、FOMC参加者のFFレート予想であるドットチャート(中央値)が公表された。SEPに関しては、雇用環境は前回(9月FOMC時点)の予想に比べて良好に推移し、景気全体も底堅く推移する一方、インフレ率の減速がこれまでの想定よりも緩やかなものに留まるとのシナリオが示された。

◆ドットチャートに関しては、2025年内の利下げ幅は0.50%ptと前回の予想に比べて縮小した。また、前回は2026年で利下げは完了との見立てだったが、2025年の利下げ幅が縮小されたことで、予想期間の2027年まで利下げが継続するとの見通しに変更された。景気やインフレに関する見通しが上方修正されたことに加え、不確実性の高まりによってFOMC参加者が利下げをより慎重に進めようとしていると考えられる。

◆2025年の金融政策運営に関しては、景気やインフレをいかに判断するか(=「データ次第」)だけでなく、トランプ新政権の経済政策(=「トランプ次第」)をいかに織り込むか、によっても左右される。また、2027年にかけて利下げを継続するとの見立てが示された一方で、FF金利の長期見通し(≒景気に中立的な金利)はジリジリと上昇している。中立金利の水準をFF金利の最終到達水準(ターミナルレート)と仮定すれば、インフレの減速ペースが緩やかになると想定される2025年において、FF金利の長期見通しがさらに上方修正され、将来の利下げ幅がさらに縮小する可能性があるだろう。

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