サマリー
◆2024年11月6日・7日に開催されたFOMC(連邦公開市場委員会)では、政策金利であるFF(フェデラルファンド)レートの誘導目標レンジを0.25%pt引き下げ、従来の4.75-5.00%から4.50-4.75%へと変更した。9月のFOMCにおける0.50%ptの利下げから利下げ幅は縮小されたものの、2会合連続での利下げ実施となった。今回の決定は市場参加者にとってサプライズとはならなかった。
◆声明文では、景気・インフレの認識に大きな変更は見られなかった。景気・インフレの先行きに関して一部文言が削除されたが、声明文公表後の記者会見で、パウエルFRB議長は、不確実性の高い現環境において、金融政策運営の柔軟性を確保することが目的であり、新たなシグナルを送るためではないと説明した。
◆パウエル議長の記者会見では、大統領選挙が金融政策運営に与える影響に関する質問が相次いだ。パウエル議長は短期的には影響しないと回答した一方、政策内容やタイミング、そして、景気への影響は定かではないとし、先行きの不確実性の高さを繰り返し指摘した。
◆足元までの景気・インフレ指標に基づけば、12月17日・18日のFOMCでは0.25%pt追加の利下げが妥当と考えられる。市場も0.25%ptの利下げをメインシナリオとして織り込んでいる。
◆他方で、2025年以降の利下げは見通し不良だ。9月FOMC時のドットチャートでは、2025年の利下げ幅を合計1.00%pt(同年末時点の誘導目標レンジは3.25%-3.50%)が中央値となっているが、FedWatchから見た市場の予想はばらついており、最も確率が高い金利水準は2025年内合計0.25%(同年末時点の誘導目標レンジは4.00%-4.25%)の利下げ(FOMC直後、11月7日時点)と、ドットチャート対比でタカ派的な見立てとなっている。市場においてインフレ再燃リスクに対する警戒感が見られる中で、12月のFOMCで公表されるドットチャートや経済見通し(SEP)が要注目となろう。
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