サマリー
◆米大統領選挙まであと2カ月を切った。カマラ・ハリス氏が参戦した当初はトランプ氏の支持率がハリス氏を上回っていたが、8月に入ってから逆転し、足元ではハリス氏の支持率が2%pt弱リードしている。また、実際の大統領選挙は各州での選挙結果に基づいた選挙人の合計で争われ、現時点での州別の世論調査の結果通りとなれば、僅差でハリス氏の勝利となる計算だ。ただし、過去の選挙結果と支持率を比較すると、世論調査はトランプ氏の支持を過小評価する傾向があり、ハリス氏が勝利する上では更なる支持率の上昇が不可欠だ。
◆トランプ氏とハリス氏が接戦となる中で、当面の注目点は、9月10日に米ABCテレビが主催する第二回大統領候補者討論会だ。今回の討論会では、とりわけ世論が注目する経済に関する、(1)実績、(2)将来像、(3)わかりやすいスローガンについて、ハリス氏・トランプ氏の言動が今後の大統領選挙の結果を分けるカギとなるだろう。(1)の経済の実績に関しては、米国経済がソフトランディングに向かっていることはハリス氏にとってポジティブな材料だ。ただし、足元で失業率が上がっている点や、ラストベルトの景況感が落ち込んでいる点はネガティブな材料といえる。
◆(2)の経済の将来像に関しては、ハリス氏は法人税率の引き上げによる悪影響が懸念材料だ。他方で、トランプ氏に関しては、追加関税措置によるインフレ懸念や減税による財政悪化懸念があり、経済政策に関しては両者ともに一長一短といえる。このほか、ハリス氏にとっては気候変動対策や移民政策に関して防戦を強いられる可能性がある。
◆最後に、過去を振り返れば、いずれの勝者も(3)わかりやすいスローガンが人気を支えていた。ハリス氏は足元で“Opportunity Economy(「機会の経済」)”を強調している。「機会の経済」は人々が経済活動を行う際の機会の平等を言い換えた表現といえる。機会の平等は従来から共和党が重視する傾向があり、共和党内の反トランプ派に訴求力を有する可能性がある点で注目だ。現時点で知名度がまだ低い「機会の経済」を、ハリス氏が討論会を通じてアピールし、勝利のスローガンへと昇華することができるかが注目されよう。
このコンテンツの著作権は、株式会社大和総研に帰属します。著作権法上、転載、翻案、翻訳、要約等は、大和総研の許諾が必要です。大和総研の許諾がない転載、翻案、翻訳、要約、および法令に従わない引用等は、違法行為です。著作権侵害等の行為には、法的手続きを行うこともあります。また、掲載されている執筆者の所属・肩書きは現時点のものとなります。
同じカテゴリの最新レポート
-
非農業部門雇用者数は前月差+11.5万人
2026年4月米雇用統計:強弱まちまちもFRBの様子見には十分な結果
2026年05月11日
-
米GDP 前期比年率+2.0%と加速
2026年1-3月期米GDP:AI関連投資がけん引
2026年05月01日
-
FOMC 3会合連続で金利据え置きを決定
パウエル議長の任期満了、次期議長下での注目点は?
2026年04月30日
最新のレポート・コラム
-
上場オーナー企業と公開買付制度・大量保有報告制度の見直し
2026年5月1日に大量保有報告書等の提出義務が発生する場合も
2026年05月15日
-
デジタルアイデンティティ・デジタルクレデンシャルをめぐる取組みと実装技術の論点整理(第1部)
デジタルアイデンティティの基本像と、EUDIウォレットにみる制度化・実装動向
2026年05月14日
-
熊谷亮丸の経済・金融 Foresight 何故、わが国では潜在成長率が低迷しているのか?
高市政権は成長戦略を強化する方針だが、①労働、②資本、③TFP(全要素生産性)という3つの要素をバランス良く底上げする必要
2026年05月13日
-
AIが変える議決権行使助言業
中立性・客観性確保のための利用を訴求へ
2026年05月13日
-
中東リスクがASEAN進出企業に与える影響の差は、どのように生じているか?
2026年05月15日
よく読まれているリサーチレポート
-
超富裕層の株式譲渡所得への税率はミニマムタックス込みで最高35.63%に
2026年度税制改正大綱解説(3)富裕層課税(ミニマムタックス)
2026年02月09日
-
いまさら人には聞けない 大量保有報告(5%ルール)のQ&A 【改訂版】
2024年金商法等改正法(2026年5月1日適用開始)を反映
2026年04月03日
-
検討進むガバナンス・コード改訂:2月案と4月案の相違点は
「解釈指針」は原則と一体という記述は削除。現預金への注目を避ける修文。
2026年04月10日
-
企業が意識すべきCGコード改訂案のインプリケーション
「金融資産」「実物資産」がコードに入った意味
2026年04月16日
-
日本経済見通し(2026年4月)
中東情勢緊迫による景気下振れリスク上昇で4月利上げは見送りか
2026年04月21日
超富裕層の株式譲渡所得への税率はミニマムタックス込みで最高35.63%に
2026年度税制改正大綱解説(3)富裕層課税(ミニマムタックス)
2026年02月09日
いまさら人には聞けない 大量保有報告(5%ルール)のQ&A 【改訂版】
2024年金商法等改正法(2026年5月1日適用開始)を反映
2026年04月03日
検討進むガバナンス・コード改訂:2月案と4月案の相違点は
「解釈指針」は原則と一体という記述は削除。現預金への注目を避ける修文。
2026年04月10日
企業が意識すべきCGコード改訂案のインプリケーション
「金融資産」「実物資産」がコードに入った意味
2026年04月16日
日本経済見通し(2026年4月)
中東情勢緊迫による景気下振れリスク上昇で4月利上げは見送りか
2026年04月21日

