サマリー
◆足元までの経済指標を概観すると、1月の雇用統計は、雇用者数が市場予想を大幅に上回る堅調な結果となり、賃金上昇率も上昇した。インフレ指標に関しても、CPI、PPIともにヘッドラインが市場予想を上回った。他方で、小売売上高や鉱工業生産は市場予想を下回る軟調な結果となった。経済指標の方向感がわかりにくくなっているのは、年次改定(雇用者数、インフレ指標)や悪天候(小売売上高、鉱工業生産)などの特殊要因による影響がある。単月の経済指標の振れに過度に反応すべきではない。総じてみれば、景気の緩やかな減速に沿って、インフレがペースダウンしていくというソフトランディングをメインシナリオとして据え置く。
◆単月の経済指標の振れに左右されないという観点では、高成長が続きながらインフレも減速するという2023年の米国経済のトレンド継続の可能性も排除すべきではない。従来のインフレ減速要因(エネルギー、食品、コア財)に代わり、コアサービス価格の減速が必要となる中で、労働生産性の高まりがカギを握る。米企業は業務の効率化に意欲的であり、労働生産性の改善が続くことで、好景気を維持しながらもインフレ圧力が和らいでいくことも可能となろう。他方で、労働生産性の更なる改善はハードルが高い点には注意を要する。FRBとしても、インフレの抑制に向けて、今後も改善するかが不透明な労働生産性に大きく期待できない、というスタンスを取っている。2023年の米国経済のトレンドの継続は、あくまでもポジティブ・サプライズという位置づけであろう。
このコンテンツの著作権は、株式会社大和総研に帰属します。著作権法上、転載、翻案、翻訳、要約等は、大和総研の許諾が必要です。大和総研の許諾がない転載、翻案、翻訳、要約、および法令に従わない引用等は、違法行為です。著作権侵害等の行為には、法的手続きを行うこともあります。また、掲載されている執筆者の所属・肩書きは現時点のものとなります。
同じカテゴリの最新レポート
-
米GDP 前期比年率+1.5%と減速
2026年4-6月期米GDP:内需は堅調も輸入が下押し
2026年07月31日
-
FOMC 5会合連続で金利据え置き
フォワード・ガイダンス依存から脱却し、必要となるのは綿密な経済分析
2026年07月30日
-
米国経済見通し 中東政策は8月にTACOか
中東情勢悪化が影を落とす中、政治日程が中東政策転換の鍵を握る
2026年07月28日
最新のレポート・コラム
よく読まれているリサーチレポート
-
中国経済見通し:泥沼化する不動産不況
低迷する内需。財政出動・さらなる金融緩和への期待が高まる
2026年06月22日
-
ナフサ問題がもたらす日本経済の不安要素
物価上昇は避けられず、供給不足が生じればさらなる経済下押しも
2026年06月15日
-
第229回日本経済予測(改訂版)
混迷する中東情勢、その先で問われる日本経済の構造転換①「持続的成長」の条件、②資産形成と成長の好循環、を検証
2026年06月08日
-
「成長投資ガイダンス」の解釈とその活用法
資本コストを上回る資本収益性の確保は価値創造(EP)の前提条件
2026年06月17日
-
超富裕層の株式譲渡所得への税率はミニマムタックス込みで最高35.63%に
2026年度税制改正大綱解説(3)富裕層課税(ミニマムタックス)
2026年02月09日
中国経済見通し:泥沼化する不動産不況
低迷する内需。財政出動・さらなる金融緩和への期待が高まる
2026年06月22日
ナフサ問題がもたらす日本経済の不安要素
物価上昇は避けられず、供給不足が生じればさらなる経済下押しも
2026年06月15日
第229回日本経済予測(改訂版)
混迷する中東情勢、その先で問われる日本経済の構造転換①「持続的成長」の条件、②資産形成と成長の好循環、を検証
2026年06月08日
「成長投資ガイダンス」の解釈とその活用法
資本コストを上回る資本収益性の確保は価値創造(EP)の前提条件
2026年06月17日
超富裕層の株式譲渡所得への税率はミニマムタックス込みで最高35.63%に
2026年度税制改正大綱解説(3)富裕層課税(ミニマムタックス)
2026年02月09日

