2024年01月12日
サマリー
◆米国証券取引委員会(SEC)は、2023年2月15日に、米国証券取引の未決済リスクを軽減すべく、1934年証券取引所法を改定している。
◆この改定の目玉は、米国証券取引の決済期間を、現行ルールの「取引日から二営業日以内」(T+2)から、「取引日から一営業日以内」(T+1)へと短縮した点である。
◆通常、取引成立から完了までに二営業日かかる外国為替取引を付随して行う場合、取引所取引が主流である米国株式の「T+1」決済(「取引日当日中の取引承認」が不可欠)に対応するには、日本の市場においては、時差の関係上、極めて短時間での事務処理が求められる。
◆米国の証券清算・決済機関であるDTCCが2023年3月8日に公表したレポートによると、米国との時差が日本よりも短い欧州にあっても、従業員一万人以下の金融機関の半数以上が、米国株式の「T+1」決済に対応すべく、従業員を北米に転勤させるか、新たに夜勤シフトの従業員を採用する計画があるとしている。
◆ブローカー・ディーラーが「T+1」決済の遵守を求められるのは、2024年5月28日以降である。
◆今後、日本のブローカー・ディーラー、カストディアン、信託銀行、資産運用会社等の米国株式市場参加者が、どのようにして米国株式の「T+1」決済に対応していくのか、関心が高まっていくだろう。
このコンテンツの著作権は、株式会社大和総研に帰属します。著作権法上、転載、翻案、翻訳、要約等は、大和総研の許諾が必要です。大和総研の許諾がない転載、翻案、翻訳、要約、および法令に従わない引用等は、違法行為です。著作権侵害等の行為には、法的手続きを行うこともあります。また、掲載されている執筆者の所属・肩書きは現時点のものとなります。
同じカテゴリの最新レポート
-
非農業部門雇用者数は前月差+2.2万人
2025年8月米雇用統計:雇用環境の悪化が継続し、利下げが近づく
2025年09月08日
-
米国経済見通し 景気下振れの懸念強まる
雇用環境が悪化傾向を示す中、屋台骨の個人消費は楽観しづらい
2025年08月22日
-
2025年ジャクソンホール会議の注目点は?
①利下げ再開の可能性示唆、②金融政策枠組みの見直し
2025年08月20日
最新のレポート・コラム
よく読まれているリサーチレポート
-
2025年度の最低賃金は1,100円超へ
6%程度の引き上げが目安か/欧州型目標の扱いや地方での議論も注目
2025年07月16日
-
2025年ジャクソンホール会議の注目点は?
①利下げ再開の可能性示唆、②金融政策枠組みの見直し
2025年08月20日
-
既に始まった生成AIによる仕事の地殻変動
静かに進む、ホワイトカラー雇用の構造変化
2025年08月04日
-
米雇用者数の下方修正をいかに解釈するか
2025年7月米雇用統計:素直に雇用環境の悪化を警戒すべき
2025年08月04日
-
中国:2025年と今後10年の長期経済見通し
25年:2つの前倒しの反動。長期:総需要減少と過剰投資・債務問題
2025年01月23日
2025年度の最低賃金は1,100円超へ
6%程度の引き上げが目安か/欧州型目標の扱いや地方での議論も注目
2025年07月16日
2025年ジャクソンホール会議の注目点は?
①利下げ再開の可能性示唆、②金融政策枠組みの見直し
2025年08月20日
既に始まった生成AIによる仕事の地殻変動
静かに進む、ホワイトカラー雇用の構造変化
2025年08月04日
米雇用者数の下方修正をいかに解釈するか
2025年7月米雇用統計:素直に雇用環境の悪化を警戒すべき
2025年08月04日
中国:2025年と今後10年の長期経済見通し
25年:2つの前倒しの反動。長期:総需要減少と過剰投資・債務問題
2025年01月23日