米国証券取引の「T+1」決済、5月28日開始

日本では、米国株式投資に付随して行う外国為替取引への影響が大か

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  • ニューヨークリサーチセンター 主任研究員(NY駐在) 鈴木 利光

サマリー

◆米国証券取引委員会(SEC)は、2023年2月15日に、米国証券取引の未決済リスクを軽減すべく、1934年証券取引所法を改定している。

◆この改定の目玉は、米国証券取引の決済期間を、現行ルールの「取引日から二営業日以内」(T+2)から、「取引日から一営業日以内」(T+1)へと短縮した点である。

◆通常、取引成立から完了までに二営業日かかる外国為替取引を付随して行う場合、取引所取引が主流である米国株式の「T+1」決済(「取引日当日中の取引承認」が不可欠)に対応するには、日本の市場においては、時差の関係上、極めて短時間での事務処理が求められる。

◆米国の証券清算・決済機関であるDTCCが2023年3月8日に公表したレポートによると、米国との時差が日本よりも短い欧州にあっても、従業員一万人以下の金融機関の半数以上が、米国株式の「T+1」決済に対応すべく、従業員を北米に転勤させるか、新たに夜勤シフトの従業員を採用する計画があるとしている。

◆ブローカー・ディーラーが「T+1」決済の遵守を求められるのは、2024年5月28日以降である。

◆今後、日本のブローカー・ディーラー、カストディアン、信託銀行、資産運用会社等の米国株式市場参加者が、どのようにして米国株式の「T+1」決済に対応していくのか、関心が高まっていくだろう。

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