サマリー
◆高インフレに直面している米国ではスタグフレーションへの警戒感が強まっている。本稿ではインフレと景気の関係について価格上昇率分布を基に整理し、米国経済がスタグフレーションに陥るリスクを検討する。
◆価格上昇率分布が拡大すると、①品目ごとの需給バランスの崩れ、②インフレリスクプレミアムの上昇を通じて、実体経済に悪影響をもたらすとみられる。オイルショック時と比較すると、足元では価格上昇率が非常に高い品目の割合は小さく、こうした波及経路を通じて実体経済が下押しされる度合いも小さいとみられる。
◆足元のインフレには価格改定頻度の低い品目(粘着価格品目)で価格が比較的安定しているという特徴がある。背景には、FRBのインフレ目標に対する信認から長期の期待インフレ率が安定していることがあるとみられる。インフレ目標は粘着価格を中心に価格上昇を抑えることで、景気の悪化を防ぐ効果を持つ。
◆労働供給制約の深刻化と資源価格高騰の双方が一段と進んだ場合に米国経済が景気後退に陥る可能性をシミュレーションによって検討した結果、メインシナリオではスタグフレーションに突入することは回避されると見込む。しかし、テールリスクとみられていたロシアによるウクライナへの軍事侵攻が現実となったことで、米国経済がスタグフレーションに陥るリスクは以前よりも高まっている。
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