サマリー
◆高インフレに直面している米国ではスタグフレーションへの警戒感が強まっている。本稿ではインフレと景気の関係について価格上昇率分布を基に整理し、米国経済がスタグフレーションに陥るリスクを検討する。
◆価格上昇率分布が拡大すると、①品目ごとの需給バランスの崩れ、②インフレリスクプレミアムの上昇を通じて、実体経済に悪影響をもたらすとみられる。オイルショック時と比較すると、足元では価格上昇率が非常に高い品目の割合は小さく、こうした波及経路を通じて実体経済が下押しされる度合いも小さいとみられる。
◆足元のインフレには価格改定頻度の低い品目(粘着価格品目)で価格が比較的安定しているという特徴がある。背景には、FRBのインフレ目標に対する信認から長期の期待インフレ率が安定していることがあるとみられる。インフレ目標は粘着価格を中心に価格上昇を抑えることで、景気の悪化を防ぐ効果を持つ。
◆労働供給制約の深刻化と資源価格高騰の双方が一段と進んだ場合に米国経済が景気後退に陥る可能性をシミュレーションによって検討した結果、メインシナリオではスタグフレーションに突入することは回避されると見込む。しかし、テールリスクとみられていたロシアによるウクライナへの軍事侵攻が現実となったことで、米国経済がスタグフレーションに陥るリスクは以前よりも高まっている。
このコンテンツの著作権は、株式会社大和総研に帰属します。著作権法上、転載、翻案、翻訳、要約等は、大和総研の許諾が必要です。大和総研の許諾がない転載、翻案、翻訳、要約、および法令に従わない引用等は、違法行為です。著作権侵害等の行為には、法的手続きを行うこともあります。また、掲載されている執筆者の所属・肩書きは現時点のものとなります。
同じカテゴリの最新レポート
-
ウォーシュ氏が目指すのは、FRB版「ドンロー主義」か?
バランスシートの縮小は非現実的、利下げは緩やかに実施か
2026年02月03日
-
FOMC 4会合ぶりに金利据え置きを決定
政治的介入で金融政策運営は一層見通しづらい
2026年01月29日
-
デジタル通貨覇権競争の幕開けと次世代決済の展望
『大和総研調査季報』2026年新春号(Vol.61)掲載
2026年01月26日
最新のレポート・コラム
よく読まれているリサーチレポート
-
中国によるレアアース・レアメタルの輸出規制は日本の実質GDPを1.3~3.2%下押し
供給制約により、自動車産業を中心に生産活動の低迷が懸念される
2025年12月05日
-
2026年の日本経済見通し
1%弱のプラス成長を見込むも外需下振れや円急落、金利高等に注意
2025年12月23日
-
生成AIが描く日本の職業の明暗とその対応策
~AIと職業情報を活用した独自のビッグデータ分析~『大和総研調査季報』2024年春季号(Vol.54)掲載
2024年04月25日
-
中国経済:2025年の回顧と2026年の見通し
不動産不況の継続と消費財購入補助金政策の反動で景気減速へ
2025年12月23日
-
高市政権の財政政策は更なる円安を招くのか
財政支出の拡大ショックは翌年の円安に繋がる
2025年12月18日
中国によるレアアース・レアメタルの輸出規制は日本の実質GDPを1.3~3.2%下押し
供給制約により、自動車産業を中心に生産活動の低迷が懸念される
2025年12月05日
2026年の日本経済見通し
1%弱のプラス成長を見込むも外需下振れや円急落、金利高等に注意
2025年12月23日
生成AIが描く日本の職業の明暗とその対応策
~AIと職業情報を活用した独自のビッグデータ分析~『大和総研調査季報』2024年春季号(Vol.54)掲載
2024年04月25日
中国経済:2025年の回顧と2026年の見通し
不動産不況の継続と消費財購入補助金政策の反動で景気減速へ
2025年12月23日
高市政権の財政政策は更なる円安を招くのか
財政支出の拡大ショックは翌年の円安に繋がる
2025年12月18日

