サマリー
◆2021年の米国経済は、感染状況に振り回された点は2020年と同様であった。他方、ワクチン接種の進展により大規模なロックダウンは導入されず、マイナス成長を回避できている点は大きな違いである。個人消費と設備投資という堅調な内需がけん引し、2021年の実質GDP成長率は暦年ベースで+5%半ばの高水準となる見込みである。
◆2022年の米国経済も2021年と同様に内需主導の成長となろう。2022年の実質GDP成長率は+4.0%前後と2021年から鈍化するも高い伸びを維持するというのがベースシナリオである。もっとも、感染状況の悪化がリスク要因である点も同様である。感染状況の悪化によってサービス消費が落ち込むとともに、サプライチェーンの混乱を長引かせる可能性がある。サプライチェーンの混乱が長期化すれば、インフレ加速が継続し、実質所得が目減りすることで、低所得・中所得層の消費に悪影響を及ぼすだろう。
◆2022年が2021年と異なる点もある。インフレ加速に対する懸念の高まりや政治の季節の到来によって、財政・金融政策運営では従来のように政策の総動員が難しくなっている。ワクチン接種の進展等によって大規模なロックダウンは避けることができても、こうした政策対応余地が小さくなっている点は、2022年の米国経済の不安要素といえる。
このコンテンツの著作権は、株式会社大和総研に帰属します。著作権法上、転載、翻案、翻訳、要約等は、大和総研の許諾が必要です。大和総研の許諾がない転載、翻案、翻訳、要約、および法令に従わない引用等は、違法行為です。著作権侵害等の行為には、法的手続きを行うこともあります。また、掲載されている執筆者の所属・肩書きは現時点のものとなります。
同じカテゴリの最新レポート
-
非農業部門雇用者数は前月差+2.2万人
2025年8月米雇用統計:雇用環境の悪化が継続し、利下げが近づく
2025年09月08日
-
米国経済見通し 景気下振れの懸念強まる
雇用環境が悪化傾向を示す中、屋台骨の個人消費は楽観しづらい
2025年08月22日
-
2025年ジャクソンホール会議の注目点は?
①利下げ再開の可能性示唆、②金融政策枠組みの見直し
2025年08月20日
最新のレポート・コラム
よく読まれているリサーチレポート
-
2025年度の最低賃金は1,100円超へ
6%程度の引き上げが目安か/欧州型目標の扱いや地方での議論も注目
2025年07月16日
-
2025年ジャクソンホール会議の注目点は?
①利下げ再開の可能性示唆、②金融政策枠組みの見直し
2025年08月20日
-
既に始まった生成AIによる仕事の地殻変動
静かに進む、ホワイトカラー雇用の構造変化
2025年08月04日
-
米雇用者数の下方修正をいかに解釈するか
2025年7月米雇用統計:素直に雇用環境の悪化を警戒すべき
2025年08月04日
-
中国:2025年と今後10年の長期経済見通し
25年:2つの前倒しの反動。長期:総需要減少と過剰投資・債務問題
2025年01月23日
2025年度の最低賃金は1,100円超へ
6%程度の引き上げが目安か/欧州型目標の扱いや地方での議論も注目
2025年07月16日
2025年ジャクソンホール会議の注目点は?
①利下げ再開の可能性示唆、②金融政策枠組みの見直し
2025年08月20日
既に始まった生成AIによる仕事の地殻変動
静かに進む、ホワイトカラー雇用の構造変化
2025年08月04日
米雇用者数の下方修正をいかに解釈するか
2025年7月米雇用統計:素直に雇用環境の悪化を警戒すべき
2025年08月04日
中国:2025年と今後10年の長期経済見通し
25年:2つの前倒しの反動。長期:総需要減少と過剰投資・債務問題
2025年01月23日