サマリー
◆2021年11月2・3日に開催されたFOMC(連邦公開市場委員会)では、政策金利であるFF(フェデラルファンド)レートの誘導目標レンジを、0.00-0.25%に据え置いた。他方、バランスシート政策に関しては、想定通りテーパリング(国債等の買入額の減額)の開始が公表された。
◆テーパリングは11月半ばから開始される。現在の国債買入額は月額800億ドル、MBSの買入額は400億ドルに設定されているが、今後の買入額に関しては国債を月額100億ドル、MBSを月額50億ドルずつ段階的に減額する。今回公表された減額ペースを基にすれば、2022年中頃にはテーパリングを終了することが予想される。
◆このほか、今回のFOMCでの関心事はインフレ加速と景気・雇用の回復ペースに対するFRBの認識であった。インフレ加速は従来一時的という認識が示されてきたが、今回のFOMCでは一時的か否かは不確定であるとの見解が示された。景気・雇用の回復に関しては、FRBは新型コロナウイルスの感染状況が回復することで今後はペースアップを見込んでいる。
◆市場は雇用の最大化が実現する前に、インフレ加速に対応するため、2022年にFRBが利上げへと追い込まれる可能性を推し量ろうとしている。パウエルFRB議長は利上げを躊躇しない姿勢を示すも現状ではリスク管理にすぎず、当面は忍耐強くあるべきと指摘した。利上げは早くてもテーパリング完了後(2022年下半期)であり、当面は雇用の回復状況を確認するフェーズとなろう。
このコンテンツの著作権は、株式会社大和総研に帰属します。著作権法上、転載、翻案、翻訳、要約等は、大和総研の許諾が必要です。大和総研の許諾がない転載、翻案、翻訳、要約、および法令に従わない引用等は、違法行為です。著作権侵害等の行為には、法的手続きを行うこともあります。また、掲載されている執筆者の所属・肩書きは現時点のものとなります。
同じカテゴリの最新レポート
-
米GDP 前期比年率▲0.3%とマイナスに転換
2025年1-3月期米GDP:追加関税を背景とした駆け込み輸入が下押し
2025年05月01日
-
米国の州年金基金とビットコイン現物ETF
「戦略的ビットコイン準備資産」の実現により保有ニーズが高まるか
2025年04月25日
-
「トランプ2.0」における米国金融規制の展望
~銀行システム、暗号資産ビジネスと結合か~『大和総研調査季報』2025年春季号(Vol.58)掲載
2025年04月24日
最新のレポート・コラム
よく読まれているリサーチレポート
-
トランプ関税で日本経済は「漁夫の利」を得られるか?
広範な関税措置となっても代替需要の取り込みで悪影響が緩和
2025年03月03日
-
地方創生のカギとなる非製造業の生産性向上には何が必要か?
業種ごとの課題に応じたきめ細かい支援策の組み合わせが重要
2025年03月12日
-
中国:全人代2025・政府活動報告を読み解く
各種「特別」債で金融リスク低減と内需拡大を狙う
2025年03月06日
-
中国:2025年と今後10年の長期経済見通し
25年:2つの前倒しの反動。長期:総需要減少と過剰投資・債務問題
2025年01月23日
-
2025年の日本経済見通し
1%台半ばのプラス成長を見込むも「トランプ2.0」で不確実性大きい
2024年12月20日
トランプ関税で日本経済は「漁夫の利」を得られるか?
広範な関税措置となっても代替需要の取り込みで悪影響が緩和
2025年03月03日
地方創生のカギとなる非製造業の生産性向上には何が必要か?
業種ごとの課題に応じたきめ細かい支援策の組み合わせが重要
2025年03月12日
中国:全人代2025・政府活動報告を読み解く
各種「特別」債で金融リスク低減と内需拡大を狙う
2025年03月06日
中国:2025年と今後10年の長期経済見通し
25年:2つの前倒しの反動。長期:総需要減少と過剰投資・債務問題
2025年01月23日
2025年の日本経済見通し
1%台半ばのプラス成長を見込むも「トランプ2.0」で不確実性大きい
2024年12月20日