サマリー
◆大和総研は、2021年7-9月期の実質GDP成長率が前期比年率7.5%となると見込む。ただし、その内訳では、米国経済の屋台骨である個人消費は減速していくと予想する。4-6月期からの加速は在庫不足が徐々に解消していくことによる押し上げと、個人消費の減速に伴う輸入の伸び率鈍化によって外需のマイナス幅が縮小することによるものである。
◆米国経済は下振れリスクに直面している。ロイター/ミシガン大消費者センチメントが景気後退期に次ぐほどの大きさで悪化したように、個人消費が下振れするリスクがある。
◆ベースシナリオとしては、失業保険の給付増額の期限到来や対面授業の再開本格化によって労働供給が拡大し、雇用環境の回復が進展することで、個人消費の裏付けである家計所得が増加し、消費余力を確保できると考えられる。
◆他方で、新型コロナウイルスのデルタ株の感染拡大によって消費者マインドが一層悪化する懸念は残る。感染拡大自体が消費者センチメントに悪影響を与えるが、雇用環境の回復ペースを鈍化させることで、一層の悪化要因となり得る。特に失業保険の給付増額の期限が切れる9月まで感染拡大が継続すれば、感染回避や対面授業の再開停止等によって職場復帰が遅れることも考えられる。結果的に、家計所得の減少によって消費余力が低下し、個人消費を下押しすることがリスクシナリオとなろう。
このコンテンツの著作権は、株式会社大和総研に帰属します。著作権法上、転載、翻案、翻訳、要約等は、大和総研の許諾が必要です。大和総研の許諾がない転載、翻案、翻訳、要約、および法令に従わない引用等は、違法行為です。著作権侵害等の行為には、法的手続きを行うこともあります。また、掲載されている執筆者の所属・肩書きは現時点のものとなります。
同じカテゴリの最新レポート
-
米国、設備投資費用の即時償却を復活・拡張
製造業・情報産業の新規投資、及び対米直接投資の増加要因か
2025年10月07日
-
米国経済見通し 利下げ再開後の注目点は?
景気下振れリスクが懸念される時こそ、インフレ動向を注視すべき
2025年09月24日
-
FOMC 0.25%ptの利下げを決定
先行きの利下げペースに関しては予想がばらつく
2025年09月18日
最新のレポート・コラム
-
働く低所得者の負担を軽減する「社会保険料還付付き税額控除」の提案
追加財政負担なしで課税最低限(年収の壁)178万円達成も可能
2025年10月10日
-
ゼロクリックで完結する情報検索
AI検索サービスがもたらす情報発信戦略と収益モデルの新たな課題
2025年10月10日
-
「インパクトを考慮した投資」は「インパクト投資」か?
両者は別物だが、共にインパクトを生むことに変わりはない
2025年10月09日
-
一部の地域は企業関連で改善の兆し~物価高・海外動向・新政権の政策を注視
2025年10月 大和地域AI(地域愛)インデックス
2025年10月08日
-
政治不安が続くアジア新興国、脆弱な中間層に配慮した政策を
2025年10月10日
よく読まれているリサーチレポート
-
第226回日本経済予測(改訂版)
低成長・物価高の日本が取るべき政策とは?①格差問題、②財政リスク、を検証
2025年09月08日
-
聖域なきスタンダード市場改革議論
上場維持基準などの見直しにも言及
2025年09月22日
-
今後の証券業界において求められる不正アクセス等防止策とは
金融庁と日本証券業協会がインターネット取引の新指針案を公表
2025年09月01日
-
日本経済見通し:2025年9月
トランプ関税で対米輸出が大幅減、製造業や賃上げ等への影響は?
2025年09月25日
-
中国:2025年と今後10年の長期経済見通し
25年:2つの前倒しの反動。長期:総需要減少と過剰投資・債務問題
2025年01月23日
第226回日本経済予測(改訂版)
低成長・物価高の日本が取るべき政策とは?①格差問題、②財政リスク、を検証
2025年09月08日
聖域なきスタンダード市場改革議論
上場維持基準などの見直しにも言及
2025年09月22日
今後の証券業界において求められる不正アクセス等防止策とは
金融庁と日本証券業協会がインターネット取引の新指針案を公表
2025年09月01日
日本経済見通し:2025年9月
トランプ関税で対米輸出が大幅減、製造業や賃上げ等への影響は?
2025年09月25日
中国:2025年と今後10年の長期経済見通し
25年:2つの前倒しの反動。長期:総需要減少と過剰投資・債務問題
2025年01月23日