サマリー
◆2021年7月27・28日に開催されたFOMC(連邦公開市場委員会)では、政策金利であるFF(フェデラルファンド)レートの誘導目標レンジを0.00-0.25%に据え置いた。バランスシート政策に関しても、米国債等の購入ペースの変更は示されなかった。
◆注目の景気認識に関しては、声明文では現況認識、見通しのいずれも引き上げられた。他方、パウエルFRB議長の記者会見では、新型コロナウイルスの感染拡大リスクとインフレリスクに関して警戒感を強めている。金融政策運営は、リスク認識に沿って、感染拡大による景気下押しへの対応(金融緩和の継続=ハト派的)、インフレ加速の継続への対応(金融引き締めへの転換=タカ派的)の両にらみといえる。FRBのコミュニケーションは複雑さを増しており、解釈の余地が生まれている点に注意が必要だろう。
◆最大の注目点であるテーパリングに関しては、議論の開始が宣言された。しかし、開始時期と構成に関する具体的な内容に関して、パウエル議長は詳細を明かさなかった。開始時期に関しては、市場予想である2022年1-3月期がベースシナリオだが、7-9月の雇用環境の回復加速がカギとなる。構成に関しては、国債のテーパリングのペースは景気の下振れが懸念されれば緩やかに、インフレリスクが懸念されれば加速することになる。MBSのテーパリングに関しては、住宅市場の加速が懸念される中で、国債のテーパリングよりも速いペースとなる可能性があるだろう。
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