サマリー
◆2021年5月の雇用統計では、非農業部門雇用者数が前月差+55.9万人、失業率は同▲0.3%pt低下の5.8%となった。雇用者数こそ市場予想を上回ることはできなかったが水準自体は申し分なく、雇用環境の回復遅延という不安を和らげる、安心感を与える結果であったといえる。
◆他方、労働参加率や就業率の回復ペースは遅く、賃金上昇率が高い伸びを維持していることが示しているように、供給制約が雇用者数の伸びを抑制するという構図は続いている。こうした中、失業保険の給付増額の早期打ち切りや学校での対面授業の本格化など労働供給が拡大する動きも加速しつつある。
◆ただし、労働供給の拡大が容易に進まないことも想定すべきだろう。企業の採用意欲は依然強く、労働供給が拡大したとしても需要に追い付くには時間を要する。加えて、高齢者を中心に増えている退職者が労働市場に再参入しなければ、労働参加率や就業率は新型コロナウイルス感染拡大が本格化する前の水準を回復せず、下方シフトする可能性がある点には注意を要する。
◆今回の雇用統計の結果を通じて、雇用環境の回復を確認できたことからFOMC参加者もネガティブには捉えないだろう。他方で、テーパリングに向けた議論開始を急ぐ必要はない。雇用環境の回復が確信へと変わるまでには、今後数ヵ月の雇用統計の結果を見る必要があることから、6月のFOMCは様子見スタンスが継続することが想定される。
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