サマリー
◆2020年9月15・16日に開催されたFOMC(連邦公開市場委員会)では、政策金利であるFF(フェデラルファンド)レートの誘導目標レンジを、0.00-0.25%に据え置いた。CMBSの購入ペースは微調整されたものの、米国債・MBSの購入ペースは据え置かれた。
◆今回のFOMC声明文では、8月末に公表された新たな金融政策の枠組みを受けて、フォワードガイダンスが平均的なインフレ目標を組み込む形で修正された。ただし、修正点はFFレートの誘導目標に関するものであり、バランスシート政策に関しては特段の変更はなかった。なお、2名の反対が出ていることから、フォワードガイダンスの実施方法に関しても、FOMC参加者内で依然見解の相違はあるといえる。
◆経済見通し(SEP)は、足下の景気回復を踏まえ、上方修正された。今回初出の2023年に関して、失業率は自然失業率を下回る(改善)との見通しが示されたが、インフレは2%を超えて加速するとの見通しは示されなかった。インフレが加速しない中で、FOMC参加者のFF金利の見通し(ドットチャート)も、2023年末まで中央値は0.125%と現在のFF金利水準が維持されるとの予想が示された。
◆金融政策の先行きに関しては、11月の大統領・議会選挙がポイントとなる。政治の季節到来によって、追加的な財政支援は見込みにくいことから、景気が下振れする場合には、金融政策による追加支援が期待されることになる。また、政権交代が起きる大統領・議会選挙年は金融資本市場が不安定化しやすい。支持率でトランプ大統領がバイデン氏に後れを取る中、金融システムの安定化に向けてFRBの役割が注目される。
このコンテンツの著作権は、株式会社大和総研に帰属します。著作権法上、転載、翻案、翻訳、要約等は、大和総研の許諾が必要です。大和総研の許諾がない転載、翻案、翻訳、要約、および法令に従わない引用等は、違法行為です。著作権侵害等の行為には、法的手続きを行うこともあります。また、掲載されている執筆者の所属・肩書きは現時点のものとなります。
関連のレポート・コラム
最新のレポート・コラム
-
米GDP 前期比年率+2.8%と加速
2024年4-6月期米GDP:内需主導での堅調さを維持
2024年07月26日
-
監査・ガバナンス強化へ回帰する英国
昨年撤回した監査強化方針を復活し、ガバナンス・コードも厳格化へ
2024年07月25日
-
女性がキャリアを築ける職場ほど、子どもを持ちやすい
健保組合ごとの被保険者・被扶養者の出生率と、その要因の多変量解析
2024年07月24日
-
GX経済移行債に期待されるインパクトレポーティング
~GXの理解醸成促進に向けて~『大和総研調査季報』2024年夏季号(Vol.55)掲載
2024年07月24日
-
盛り上がりに欠ける英国の政権交代
2024年07月26日
よく読まれているリサーチレポート
-
「国債買入減額+利上げ」だけで長期金利は2%超えか
シナリオ別に見た日銀の国債買入減額による長期金利への影響試算
2024年06月12日
-
信用リスク・アセットの算出手法の見直し(確定版)
国際行等は24年3月期、内部モデルを用いない国内行は25年3月期から適用
2022年07月04日
-
第221回日本経済予測(改訂版)
賃上げ・物価高の先にある経済の姿と課題は?①賃上げ効果、②貿易デジタル赤字、③トランプリスク、を検証
2024年06月10日
-
「事業性融資の推進等に関する法律案」概要
事業性に着目した企業価値担保権の創設
2024年05月30日
-
バーゼルⅢ最終化による自己資本比率への影響の試算
標準的手法採用行では、自己資本比率が1%pt程度低下する可能性
2024年02月02日
「国債買入減額+利上げ」だけで長期金利は2%超えか
シナリオ別に見た日銀の国債買入減額による長期金利への影響試算
2024年06月12日
信用リスク・アセットの算出手法の見直し(確定版)
国際行等は24年3月期、内部モデルを用いない国内行は25年3月期から適用
2022年07月04日
第221回日本経済予測(改訂版)
賃上げ・物価高の先にある経済の姿と課題は?①賃上げ効果、②貿易デジタル赤字、③トランプリスク、を検証
2024年06月10日
「事業性融資の推進等に関する法律案」概要
事業性に着目した企業価値担保権の創設
2024年05月30日
バーゼルⅢ最終化による自己資本比率への影響の試算
標準的手法採用行では、自己資本比率が1%pt程度低下する可能性
2024年02月02日