サマリー
◆FOMC(連邦公開市場委員会)は、2020年3月15日に政策金利であるFF(フェデラルファンド)レートの誘導目標レンジを、従来の 1.00-1.25%から1.00%pt引き下げ、0.00-0.25%にすることを決定した。3月17・18日の定例FOMCをまたず、月内2回目となる緊急利下げに踏み切った。
◆また、米国債や住宅ローン担保証券の保有増や、ディスカウント・ウィンドウのプライマリー・クレジットレートの引き下げ、預金準備率の引き下げなど、幅広い流動性供給策も公表した。また、流動性供給策は国内にとどまらず、6ヵ国・地域中銀間の為替スワップ取極を通じた米ドル資金供給の拡充も含む。今回の決定を総じてみれば、FRBは新型コロナウイルスに伴う景気の下振れリスクに果敢に対応していくスタンスを市場参加者に示すために、定例FOMCをまたずに、現状採用可能な手段を総動員することでサプライズを狙ったと考えられる。
◆今後の金融政策の見通しに関しては、追加対応も十分にありうると考えておくべきだろう。FRBが更なる対応を引き起こすトリガーとして、声明文中の「公衆衛生等に関する情報を含めて」という表現もあるように、新型コロナウイルスの感染者数といった情報が重要となる。現状で採用可能な手段を総動員したことを踏まえれば、今後の政策変更の焦点は広範な証券・資産の購入となる。今後のFOMCでは、今回の措置を踏まえた上で、公衆衛生、経済、マーケット動向などに鑑みつつ、連邦準備法13条第3項の活用を検討するフェーズに移る。
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