サマリー
◆2019年7月の非農業部門雇用者数は前月差+16.4万人と、概ね市場予想(Bloomberg調査:同+16.5万人)通りであった。前月から減速したものの、完全雇用下で労働市場への新規参入を吸収するために必要な雇用者数の伸びは、毎月10万人程度で十分であることに鑑みれば、底堅い結果と言える。
◆家計調査による7月の失業率は、3.7%と前月から横ばいとなった。また、労働参加率は、2ヵ月連続で上昇するなど、持ち直しの動きが見られており、人手不足が懸念される中で好材料と言える。7月の民間部門の平均時給は前月比+0.3%となり、市場予想(同+0.2%)を上回る結果となった。2019年前半は賃金の上昇ペースが鈍化していたが、足元では再加速の兆しが見受けられる。
◆7月雇用統計は底堅かったものの、先行きは、対中追加関税の導入を背景とした消費者マインドの悪化が懸念される。今回の追加関税の対象には消費財が多く、追加関税によるコストの増加は、米国消費者に直接的な影響を及ぼしうる。こうしたコスト増が消費者マインドを冷やせば、内需のウェイトが高く、雇用者数の多いサービス業も影響を免れない。雇用者数の増勢が一段と鈍化する可能性は高まっていると考えられる。
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