米雇用者数は前月から減速も底堅い
2019年7月米雇用統計:賃金上昇率は再加速の兆し
2019年08月05日
サマリー
◆2019年7月の非農業部門雇用者数は前月差+16.4万人と、概ね市場予想(Bloomberg調査:同+16.5万人)通りであった。前月から減速したものの、完全雇用下で労働市場への新規参入を吸収するために必要な雇用者数の伸びは、毎月10万人程度で十分であることに鑑みれば、底堅い結果と言える。
◆家計調査による7月の失業率は、3.7%と前月から横ばいとなった。また、労働参加率は、2ヵ月連続で上昇するなど、持ち直しの動きが見られており、人手不足が懸念される中で好材料と言える。7月の民間部門の平均時給は前月比+0.3%となり、市場予想(同+0.2%)を上回る結果となった。2019年前半は賃金の上昇ペースが鈍化していたが、足元では再加速の兆しが見受けられる。
◆7月雇用統計は底堅かったものの、先行きは、対中追加関税の導入を背景とした消費者マインドの悪化が懸念される。今回の追加関税の対象には消費財が多く、追加関税によるコストの増加は、米国消費者に直接的な影響を及ぼしうる。こうしたコスト増が消費者マインドを冷やせば、内需のウェイトが高く、雇用者数の多いサービス業も影響を免れない。雇用者数の増勢が一段と鈍化する可能性は高まっていると考えられる。
このコンテンツの著作権は、株式会社大和総研に帰属します。著作権法上、転載、翻案、翻訳、要約等は、大和総研の許諾が必要です。大和総研の許諾がない転載、翻案、翻訳、要約、および法令に従わない引用等は、違法行為です。著作権侵害等の行為には、法的手続きを行うこともあります。また、掲載されている執筆者の所属・肩書きは現時点のものとなります。
関連のレポート・コラム
最新のレポート・コラム
-
2021年01月22日
金融商品の評価
金融商品の価値はどのように算定するのか?
-
2021年01月22日
2020年12月全国消費者物価
コアCPI変化率は約10年ぶりに▲1%台まで下落幅が拡大
-
2021年01月22日
家計の住宅ローンを点検する
近年の動向とコロナショックによる現時点での影響
-
2021年01月21日
2020年12月貿易統計
欧米での経済活動制限による需要減少を受け、輸出は足踏み
-
2021年01月21日
社外取締役に期待される役割の開示~改正会社法施行規則
よく読まれているリサーチレポート
-
2020年12月17日
2021年の日本経済見通し
+2%超の成長を見込むも感染状況次第で上下に大きく振れる可能性
-
2020年12月01日
2020年10月雇用統計
有効求人倍率が1年半ぶりに上昇
-
2020年11月20日
日本経済見通し:2020年11月
経済見通しを改訂/景気回復が続くも、感染爆発懸念は強まる
-
2020年08月14日
来春に改訂されるCGコードの論点
東証再編時における市場選択の観点からも要注目
-
2020年10月15日
緊急事態宣言解除後の地域別観光動向/Go To トラベルキャンペーンのインパクト試算
ローカルツーリズムが回復に寄与するも、依然厳しい状況が続く