サマリー
◆2026年1月27日・28日に開催されたFOMC(連邦公開市場委員会)では、政策金利であるFF(フェデラルファンド)レートの誘導目標レンジは3.50-3.75%と、4会合ぶりに金利据え置きが決定された。市場は金利据え置きを事前に織り込んでおり、今回の決定はサプライズとはならなかった。
◆FRBが様子見とした背景には、利下げの根拠となってきた雇用環境の悪化に安定化の兆しが見られてきたことや、FFレートの水準が中立金利のレンジ上限付近に達したことに加え、これまでの利下げや、2025年7月に成立したトランプ減税といった景気刺激策がもたらす、物価と雇用環境への影響を見極めたいという背景があるだろう。
◆今後の金融政策運営を左右する注目点は、雇用環境、物価、そして、政治的介入の3点だ。雇用環境に関しては、失業率が短期的には低下しやすい一方、春先以降は再上昇のリスクがある。物価に関しては、ドル安により輸入物価を押し上げ、インフレが高進するリスクがある。そして、トランプ大統領がFRBへの介入を強めており、FRBの独立性が揺らぎ、期待インフレ率のアンカー機能が低下する恐れがある。
◆2026年上半期にかけては、インフレ高進リスクと雇用環境の悪化リスクが同時に意識され、金融政策判断の難しい局面が続く見通しだ。本来、こうした局面ではFRBが景気・物価情勢に関する姿勢を示し、市場参加者はそれを丁寧に読み解くことが重要となる。しかし、FRBに対する政治的介入が継続すれば、今回のFOMC後の議長記者会見で見られたように、景気・物価情勢以外の質問が増えることになる。その結果、政策の予見可能性は低下せざるを得ず、金融政策運営は市場との対話が難しいものとなり、当面は見通しにくい状況が続くと考えられる。
このコンテンツの著作権は、株式会社大和総研に帰属します。著作権法上、転載、翻案、翻訳、要約等は、大和総研の許諾が必要です。大和総研の許諾がない転載、翻案、翻訳、要約、および法令に従わない引用等は、違法行為です。著作権侵害等の行為には、法的手続きを行うこともあります。また、掲載されている執筆者の所属・肩書きは現時点のものとなります。
同じカテゴリの最新レポート
-
米国の雇用環境は本当に強いのか?
2026年5月米雇用統計:雇用者数は力強い伸びとなるも、他の指標はまちまち
2026年06月08日
-
米国経済見通し 利上げ織り込みは妥当か
ウォーシュ新議長に期待される「バランス感覚」
2026年05月27日
-
非農業部門雇用者数は前月差+11.5万人
2026年4月米雇用統計:強弱まちまちもFRBの様子見には十分な結果
2026年05月11日
最新のレポート・コラム
よく読まれているリサーチレポート
-
超富裕層の株式譲渡所得への税率はミニマムタックス込みで最高35.63%に
2026年度税制改正大綱解説(3)富裕層課税(ミニマムタックス)
2026年02月09日
-
コーポレートガバナンス・コードの改訂案が公表
本質的な取組みと丁寧なエクスプレインが期待される
2026年04月27日
-
第229回日本経済予測
混迷する中東情勢、その先で問われる日本経済の構造転換①「持続的成長」の条件、②資産形成と成長の好循環、を検証
2026年05月25日
-
変革迫られる学校法人の資産運用
AOP対応は、少子化・インフレの荒波を乗り越えるための第一歩
2026年05月07日
-
日本経済見通し(2026年4月)
中東情勢緊迫による景気下振れリスク上昇で4月利上げは見送りか
2026年04月21日
超富裕層の株式譲渡所得への税率はミニマムタックス込みで最高35.63%に
2026年度税制改正大綱解説(3)富裕層課税(ミニマムタックス)
2026年02月09日
コーポレートガバナンス・コードの改訂案が公表
本質的な取組みと丁寧なエクスプレインが期待される
2026年04月27日
第229回日本経済予測
混迷する中東情勢、その先で問われる日本経済の構造転換①「持続的成長」の条件、②資産形成と成長の好循環、を検証
2026年05月25日
変革迫られる学校法人の資産運用
AOP対応は、少子化・インフレの荒波を乗り越えるための第一歩
2026年05月07日
日本経済見通し(2026年4月)
中東情勢緊迫による景気下振れリスク上昇で4月利上げは見送りか
2026年04月21日

