米中間選挙結果とインプリケーション

「ねじれ」発生で議会は停滞、大統領権限による政策は過激化も

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2018年11月08日

  • ロンドンリサーチセンター シニアエコノミスト(LDN駐在) 橋本 政彦
  • 金融調査部 主任研究員 鳥毛 拓馬

サマリー

◆11月6日に行われた米国中間選挙の結果、トランプ大統領が所属する共和党は、上院で過半数を維持する一方、下院では過半数を8年ぶりに民主党に明け渡すことが確定した。これにより2019年1月から開始する第116議会では、上下院の多数党が異なる「ねじれ議会」が4年ぶりに発生することになる。

◆ねじれ議会の発生によって、とりわけ共和・民主両党で意見が対立する法案が議会を通過する可能性は大きく低下する。また、下院の過半数を民主党が獲得したことで、民主党によるトランプ政権に対する監視は強まることになろう。2016年の大統領選挙におけるロシアの介入疑惑に関する調査などが本格化すれば、政策議論は一層進みづらくなる。

◆他方、ねじれ議会下においても、超党派での合意が得られる政策は、実現の可能性が残される。代表例としてインフラ投資などが挙げられるが、具体的な内容に関して両党の意見が一致していないため、意見がまとまるまでには長い時間を要する可能性がある。

◆金融規制に関しては、一律に緩和あるいは強化されるということは言えず、法案ごとに個別具体的に実現可能性を見る必要がある。一方、これまで規制当局により進められている規則の見直し・緩和は継続するとみている。

◆議会を通じた政策実行が困難になることで、2020年の大統領選挙での再選を目指すトランプ大統領は、大統領権限を駆使した政策を一層過激化する可能性が指摘できよう。大統領権限で可能な政策の代表例である通商政策に関して、貿易相手国への強硬姿勢が続くとみられ、通商政策を巡る不透明感は、中間選挙以降も続くことになろう。

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