サマリー
◆11月6日の中間選挙まで残り2週間となった。超党派の選挙分析サイト“The Cook Political Report”による分析では、上院で共和党が過半数を維持する一方で、下院では民主党が躍進し過半数を獲得し、4年ぶりに「ねじれ議会」が発生すると予想されている。
◆議会でねじれが発生した場合、両党が対立する法案の議会通過は困難になるとみられ、政策の停滞が見込まれる。また、予算審議においても両党での意見対立が発生する可能性が高く、予算未成立による政府機関の一部閉鎖といった事態はこれまで以上に起こりやすくなろう。
◆リスクシナリオとして、民主党が上下両院で過半数を獲得した場合、議会では民主党寄りの政策が推し進められることになるだろう。しかし、上院でのフィリバスター(議事妨害)やトランプ大統領の拒否権発動によって、トランプ政権のこれまでの実績を覆すような法案が成立する可能性は低いと考えられる。
◆一方、共和党が上下院とも過半数を握るという現体制を維持した場合、トランプ大統領は、これまでの約2年間で達成できなかった公約の実現を目指すことになろう。実現に至っていない公約の1つとしてインフラ投資があり、今後実行に移される可能性が高い。ただし、連邦財政の悪化がネックとなり、財政を大きく悪化させる恐れのある大型インフラ投資が実行される蓋然性は高くない。
◆中間選挙の結果がいかなるものであったとしても、トランプ大統領が大統領権限を駆使して政策を進めるという方針は維持されるとみられる。その代表例とも言える通商政策については、「ディール」重視の交渉姿勢を変化させるとは考え難く、通商政策を巡る不透明感は、中間選挙以降も続くことになろう。
このコンテンツの著作権は、株式会社大和総研に帰属します。著作権法上、転載、翻案、翻訳、要約等は、大和総研の許諾が必要です。大和総研の許諾がない転載、翻案、翻訳、要約、および法令に従わない引用等は、違法行為です。著作権侵害等の行為には、法的手続きを行うこともあります。また、掲載されている執筆者の所属・肩書きは現時点のものとなります。
同じカテゴリの最新レポート
-
米GDP 前期比年率▲0.3%とマイナスに転換
2025年1-3月期米GDP:追加関税を背景とした駆け込み輸入が下押し
2025年05月01日
-
米国の州年金基金とビットコイン現物ETF
「戦略的ビットコイン準備資産」の実現により保有ニーズが高まるか
2025年04月25日
-
「トランプ2.0」における米国金融規制の展望
~銀行システム、暗号資産ビジネスと結合か~『大和総研調査季報』2025年春季号(Vol.58)掲載
2025年04月24日
最新のレポート・コラム
よく読まれているリサーチレポート
-
トランプ関税で日本経済は「漁夫の利」を得られるか?
広範な関税措置となっても代替需要の取り込みで悪影響が緩和
2025年03月03日
-
地方創生のカギとなる非製造業の生産性向上には何が必要か?
業種ごとの課題に応じたきめ細かい支援策の組み合わせが重要
2025年03月12日
-
中国:全人代2025・政府活動報告を読み解く
各種「特別」債で金融リスク低減と内需拡大を狙う
2025年03月06日
-
中国:2025年と今後10年の長期経済見通し
25年:2つの前倒しの反動。長期:総需要減少と過剰投資・債務問題
2025年01月23日
-
2025年の日本経済見通し
1%台半ばのプラス成長を見込むも「トランプ2.0」で不確実性大きい
2024年12月20日
トランプ関税で日本経済は「漁夫の利」を得られるか?
広範な関税措置となっても代替需要の取り込みで悪影響が緩和
2025年03月03日
地方創生のカギとなる非製造業の生産性向上には何が必要か?
業種ごとの課題に応じたきめ細かい支援策の組み合わせが重要
2025年03月12日
中国:全人代2025・政府活動報告を読み解く
各種「特別」債で金融リスク低減と内需拡大を狙う
2025年03月06日
中国:2025年と今後10年の長期経済見通し
25年:2つの前倒しの反動。長期:総需要減少と過剰投資・債務問題
2025年01月23日
2025年の日本経済見通し
1%台半ばのプラス成長を見込むも「トランプ2.0」で不確実性大きい
2024年12月20日