米国経済見通し 中間選挙後の米国経済

上下院での「ねじれ」発生が基本シナリオ、議会での立法は停滞へ

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2018年10月23日

  • ロンドンリサーチセンター シニアエコノミスト(LDN駐在) 橋本 政彦

サマリー

◆11月6日の中間選挙まで残り2週間となった。超党派の選挙分析サイト“The Cook Political Report”による分析では、上院で共和党が過半数を維持する一方で、下院では民主党が躍進し過半数を獲得し、4年ぶりに「ねじれ議会」が発生すると予想されている。

◆議会でねじれが発生した場合、両党が対立する法案の議会通過は困難になるとみられ、政策の停滞が見込まれる。また、予算審議においても両党での意見対立が発生する可能性が高く、予算未成立による政府機関の一部閉鎖といった事態はこれまで以上に起こりやすくなろう。

◆リスクシナリオとして、民主党が上下両院で過半数を獲得した場合、議会では民主党寄りの政策が推し進められることになるだろう。しかし、上院でのフィリバスター(議事妨害)やトランプ大統領の拒否権発動によって、トランプ政権のこれまでの実績を覆すような法案が成立する可能性は低いと考えられる。

◆一方、共和党が上下院とも過半数を握るという現体制を維持した場合、トランプ大統領は、これまでの約2年間で達成できなかった公約の実現を目指すことになろう。実現に至っていない公約の1つとしてインフラ投資があり、今後実行に移される可能性が高い。ただし、連邦財政の悪化がネックとなり、財政を大きく悪化させる恐れのある大型インフラ投資が実行される蓋然性は高くない。

◆中間選挙の結果がいかなるものであったとしても、トランプ大統領が大統領権限を駆使して政策を進めるという方針は維持されるとみられる。その代表例とも言える通商政策については、「ディール」重視の交渉姿勢を変化させるとは考え難く、通商政策を巡る不透明感は、中間選挙以降も続くことになろう。

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