2018年の米国経済見通し

税制改革の実現で経済政策の議論は一巡か

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2017年12月19日

  • ロンドンリサーチセンター シニアエコノミスト(LDN駐在) 橋本 政彦

サマリー

◆議会共和党は上院、下院でそれぞれ可決された税制改革案を一本化した最終案を12月15日に公表した。最終案は米国時間19日にも下院で採決される見通しになっており、追って上院でも近日に採決されると伝えられている。議会で法案が可決されれば、その後大統領への送付、署名を以て、税制改革は正式に成立することになる。


◆超党派のNPO法人である、「責任ある連邦予算委員会」がまとめた、複数の米国シンクタンクによる税制改革の効果の試算を見ると、今後10年間の実質GDP成長率を毎年平均+0.004~0.31%pt押し上げるとされている。税制改革のうち、特に法人税率の引き下げが企業収益に与える影響は決して小さくないとみられるが、GDPを押し上げる効果は限定的に留まると見込まれる。


◆2016年11月の大統領選挙以降、トランプ政権による経済政策の中心的話題は税制改革であった。また、今回の税制改革には、共和党による念願であったオバマケアの修正(保険加入義務の廃止)も盛り込まれたため、改革の効果の是非はともかく、政権および共和党は、2018年中間選挙に向けた大きなアピール材料を得ることになる。


◆今後の政権および共和党による中間選挙に向けたアピール材料として、大きな経済効果が見込まれる政策が追加的に打ち出される可能性は低いだろう。政権発足当初、期待感が大きかった大型インフラ投資については、政権として現在はトーンダウンしていることに加えて、減税による連邦財政の大幅悪化が見込まれる中で、政府による大規模な支出は難しい。

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