米国経済見通し 正念場を迎える税制改革

上院内での反対意見に加え、上下両院案には隔たりが残る

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2017年11月21日

  • ロンドンリサーチセンター シニアエコノミスト(LDN駐在) 橋本 政彦

サマリー

◆10月26日に2018年度予算決議案が可決されたことを受け、議会では税制改正に向け、議論は着実に進展している。下院税制改正案は11月16日に下院本会議で可決され、上院による案も、サンクスギビングデー休暇明けの11月27日から上院本会議で審議される見込みとなっている。


◆ただし、上院本会議での上院案の可決については、既に共和党内から不支持、および懸念の声が挙がっており、予断を許さない状況にある。仮に上院案が可決されたとしても、下院案との内容の隔たりは小さくなく、それらの一本化も容易ではないだろう。トランプ政権が目指す、税制改正の年内実現は非常に困難と言わざるを得ない。


◆2017年7-9月期の実質GDP成長率は前期比年率+3.0%と、ハリケーンの影響による減速見込みに反して、前期(同+3.1%)と同程度の伸びを維持した。米国経済の先行きも、内需の拡大を中心とした、緩やかな景気拡大が続くと見込まれる。ただし、短期的にはハリケーン後の復興需要、およびその反動減に引き続き注意が必要である。


◆ハリケーンによる買い替え需要の増加によって、自動車販売は9月以降、高い水準で推移しているが、そうした復興需要は長期にわたって持続するとは考え難い。むしろ、復興による更新需要の先食いは今後の反動減を招くとみられ、今後、個人消費を下押しする要因になると考えられる。

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