次期FRB議長はパウエル理事に

金融政策は現行路線を踏襲、金融規制は規制緩和を志向

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2017年11月06日

  • ロンドンリサーチセンター シニアエコノミスト(LDN駐在) 橋本 政彦
  • 金融調査部 主任研究員 鳥毛 拓馬

サマリー

◆2017年11月2日、トランプ大統領は、現在、FRB理事を務めるジェローム・パウエル氏を次期FRB議長として指名した。次期議長候補の中では、相対的にハト派的とみられるパウエル理事が指名されたことは、金融市場にとっては安心材料といえる。


◆パウエル理事は、現FOMC参加者においては中道派とされ、景気拡大に沿って緩やかなペースで利上げを進めていくという、イエレン議長下でのFOMCと同様の金融政策運営を踏襲することになろう。一方で、市場とのコミュニケーション手腕については未知数であり、議長就任後は記者会見や議会証言での対応が当面の注目点となる。


◆今後の金融政策を考える上では、引き続きFRBの人事動向に注目していく必要があろう。FOMCにおける金融政策は議長による独断で決まるわけではなく、投票で決定され、議長はそのうちの1票を持つにすぎない。新たな理事に指名される人物によって、金融政策の方向性は変わり得る。


◆トランプ政権がFRBに提案している金融規制改革について、パウエル理事は、基本的には支持していると考えられる発言が見られ、金融規制緩和を目指しているといえよう。


◆ただし、FRBが実際に金融規制改革を行うにあたっては、2017年10月13日に理事兼金融規制担当副議長に就任したランダル・クオールズ氏が主導するものと思われ、今後は、クオールズ副議長の言動にも注目する必要があるだろう。

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