サマリー
◆2017年11月2日、トランプ大統領は、現在、FRB理事を務めるジェローム・パウエル氏を次期FRB議長として指名した。次期議長候補の中では、相対的にハト派的とみられるパウエル理事が指名されたことは、金融市場にとっては安心材料といえる。
◆パウエル理事は、現FOMC参加者においては中道派とされ、景気拡大に沿って緩やかなペースで利上げを進めていくという、イエレン議長下でのFOMCと同様の金融政策運営を踏襲することになろう。一方で、市場とのコミュニケーション手腕については未知数であり、議長就任後は記者会見や議会証言での対応が当面の注目点となる。
◆今後の金融政策を考える上では、引き続きFRBの人事動向に注目していく必要があろう。FOMCにおける金融政策は議長による独断で決まるわけではなく、投票で決定され、議長はそのうちの1票を持つにすぎない。新たな理事に指名される人物によって、金融政策の方向性は変わり得る。
◆トランプ政権がFRBに提案している金融規制改革について、パウエル理事は、基本的には支持していると考えられる発言が見られ、金融規制緩和を目指しているといえよう。
◆ただし、FRBが実際に金融規制改革を行うにあたっては、2017年10月13日に理事兼金融規制担当副議長に就任したランダル・クオールズ氏が主導するものと思われ、今後は、クオールズ副議長の言動にも注目する必要があるだろう。
このコンテンツの著作権は、株式会社大和総研に帰属します。著作権法上、転載、翻案、翻訳、要約等は、大和総研の許諾が必要です。大和総研の許諾がない転載、翻案、翻訳、要約、および法令に従わない引用等は、違法行為です。著作権侵害等の行為には、法的手続きを行うこともあります。また、掲載されている執筆者の所属・肩書きは現時点のものとなります。
同じカテゴリの最新レポート
-
非農業部門雇用者数は前月差+2.2万人
2025年8月米雇用統計:雇用環境の悪化が継続し、利下げが近づく
2025年09月08日
-
米国経済見通し 景気下振れの懸念強まる
雇用環境が悪化傾向を示す中、屋台骨の個人消費は楽観しづらい
2025年08月22日
-
2025年ジャクソンホール会議の注目点は?
①利下げ再開の可能性示唆、②金融政策枠組みの見直し
2025年08月20日
最新のレポート・コラム
よく読まれているリサーチレポート
-
2025年度の最低賃金は1,100円超へ
6%程度の引き上げが目安か/欧州型目標の扱いや地方での議論も注目
2025年07月16日
-
2025年ジャクソンホール会議の注目点は?
①利下げ再開の可能性示唆、②金融政策枠組みの見直し
2025年08月20日
-
既に始まった生成AIによる仕事の地殻変動
静かに進む、ホワイトカラー雇用の構造変化
2025年08月04日
-
米雇用者数の下方修正をいかに解釈するか
2025年7月米雇用統計:素直に雇用環境の悪化を警戒すべき
2025年08月04日
-
中国:2025年と今後10年の長期経済見通し
25年:2つの前倒しの反動。長期:総需要減少と過剰投資・債務問題
2025年01月23日
2025年度の最低賃金は1,100円超へ
6%程度の引き上げが目安か/欧州型目標の扱いや地方での議論も注目
2025年07月16日
2025年ジャクソンホール会議の注目点は?
①利下げ再開の可能性示唆、②金融政策枠組みの見直し
2025年08月20日
既に始まった生成AIによる仕事の地殻変動
静かに進む、ホワイトカラー雇用の構造変化
2025年08月04日
米雇用者数の下方修正をいかに解釈するか
2025年7月米雇用統計:素直に雇用環境の悪化を警戒すべき
2025年08月04日
中国:2025年と今後10年の長期経済見通し
25年:2つの前倒しの反動。長期:総需要減少と過剰投資・債務問題
2025年01月23日