米国経済見通し ハリケーンがかく乱要因に

短期的には経済を下押し、救済措置で債務上限は一旦先送り

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2017年09月20日

  • ロンドンリサーチセンター シニアエコノミスト(LDN駐在) 橋本 政彦

サマリー

◆8月25日にテキサス州に上陸したハリケーン・ハービー、および9月10日にフロリダ州に上陸したハリケーン・イルマは米国に多大なる被害をもたらしている。現時点で確認できる8月や9月前半までの経済統計を見ると、鉱工業生産や消費者マインドなどではハリケーンによる下押しが確認されている。ハービーの上陸が8月下旬、イルマの上陸が9月であったことを踏まえると、ハリケーンによる悪影響は9月分の経済指標にも相当程度残る公算が大きい。


◆一方で、ハリケーンによる消費や投資の先送りや、被害を受けたストック、例えば住宅や自動車の復旧・復興需要の顕在化が、先行きは経済を押し上げる要因になるとみられる。米国経済は底堅い成長が続いており、そうした基調は今後も変わらないとみられるが、ハリケーンの影響によって当面の間、経済指標の振れが大きくなると考えられる。


◆ハリケーンによる被害の拡大を受け、3ヵ月間の連邦債務上限の適用停止と、ハリケーン被害に対する約150億ドルの救済措置を含む暫定予算を一体化した法案が9月8日に成立した。これによって9月末が期限とされていた債務上限問題、予算不成立による政府機関閉鎖のリスクは12月8日まで先送りされることになった。ハリケーンの副次的な影響として、当面の財政危機は回避されたことになる。

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