サマリー
◆8月25日にテキサス州に上陸したハリケーン・ハービー、および9月10日にフロリダ州に上陸したハリケーン・イルマは米国に多大なる被害をもたらしている。現時点で確認できる8月や9月前半までの経済統計を見ると、鉱工業生産や消費者マインドなどではハリケーンによる下押しが確認されている。ハービーの上陸が8月下旬、イルマの上陸が9月であったことを踏まえると、ハリケーンによる悪影響は9月分の経済指標にも相当程度残る公算が大きい。
◆一方で、ハリケーンによる消費や投資の先送りや、被害を受けたストック、例えば住宅や自動車の復旧・復興需要の顕在化が、先行きは経済を押し上げる要因になるとみられる。米国経済は底堅い成長が続いており、そうした基調は今後も変わらないとみられるが、ハリケーンの影響によって当面の間、経済指標の振れが大きくなると考えられる。
◆ハリケーンによる被害の拡大を受け、3ヵ月間の連邦債務上限の適用停止と、ハリケーン被害に対する約150億ドルの救済措置を含む暫定予算を一体化した法案が9月8日に成立した。これによって9月末が期限とされていた債務上限問題、予算不成立による政府機関閉鎖のリスクは12月8日まで先送りされることになった。ハリケーンの副次的な影響として、当面の財政危機は回避されたことになる。
このコンテンツの著作権は、株式会社大和総研に帰属します。著作権法上、転載、翻案、翻訳、要約等は、大和総研の許諾が必要です。大和総研の許諾がない転載、翻案、翻訳、要約、および法令に従わない引用等は、違法行為です。著作権侵害等の行為には、法的手続きを行うこともあります。また、掲載されている執筆者の所属・肩書きは現時点のものとなります。
執筆者のおすすめレポート
同じカテゴリの最新レポート
-
米国経済見通し 景気下振れの懸念強まる
雇用環境が悪化傾向を示す中、屋台骨の個人消費は楽観しづらい
2025年08月22日
-
2025年ジャクソンホール会議の注目点は?
①利下げ再開の可能性示唆、②金融政策枠組みの見直し
2025年08月20日
-
GENIUS法、銀行とステーブルコインの邂逅
ステーブルコインは支払決済手段として普及するのか?
2025年08月19日
最新のレポート・コラム
よく読まれているリサーチレポート
-
2025年度の最低賃金は1,100円超へ
6%程度の引き上げが目安か/欧州型目標の扱いや地方での議論も注目
2025年07月16日
-
のれんの償却・非償却に関する議論の展望
2025年07月07日
-
日本経済見通し:2025年7月
25年の賃上げは「広がり」の面でも改善/最低賃金の目安は6%程度か
2025年07月22日
-
対日相互関税率は15%で決着へ-実質GDPへの影響は短期で▲0.5%、中期で▲1.2%-
相互関税以外の関税措置も含めると実質GDPは中期で3.2%減少
2025年07月23日
-
新たな相互関税率の適用で日本の実質GDPは短期で0.8%、中期で1.9%減少
相互関税以外の関税措置も含めると実質GDPは中期で3.7%減少
2025年07月08日
2025年度の最低賃金は1,100円超へ
6%程度の引き上げが目安か/欧州型目標の扱いや地方での議論も注目
2025年07月16日
のれんの償却・非償却に関する議論の展望
2025年07月07日
日本経済見通し:2025年7月
25年の賃上げは「広がり」の面でも改善/最低賃金の目安は6%程度か
2025年07月22日
対日相互関税率は15%で決着へ-実質GDPへの影響は短期で▲0.5%、中期で▲1.2%-
相互関税以外の関税措置も含めると実質GDPは中期で3.2%減少
2025年07月23日
新たな相互関税率の適用で日本の実質GDPは短期で0.8%、中期で1.9%減少
相互関税以外の関税措置も含めると実質GDPは中期で3.7%減少
2025年07月08日