サマリー
◆2011年を通じてGDP成長率は加速してきた。2012年に入ってからも、家計や企業の活動は総じて堅調に推移しており、両者の動きを反映する雇用環境は順調に拡大している。Fedは3月のFOMCで、事実上のゼロ金利政策の長期化など現行の超緩和政策を続ける方針を示す一方、景気の現状認識・見通しを上方修正した。市場コンセンサスも2012~13年にかけて緩やかな回復が続くという大枠を変えずに、2012年の予想成長率をこれまでの2.2%から2.3%に引き上げている。
◆だが、米国の民間部門を取り巻く不透明な環境、対外的には欧州問題、国内的にはブッシュ減税の終了や強制歳出カットの開始という財政の2013年問題は、基本的には変わっていないといえよう。確かに、前者はECBによる大規模な資金供給や民間債権者が保有するギリシャの債務削減、EU・IMFによるギリシャに対する第2次支援決定など前進しているが、完全に払拭されたと誰が保証してくれるのか。しかも、足もとでは、ガソリン価格が昨年同様に高騰しており、新たなマイナス要因が顕在化している。
◆FOMCを受けて市場の楽観的ムードが一段と強まった結果、株価が大きく上昇すると同時に、金利も大幅に上昇。長期金利を低めに誘導して景気回復をサポートしたいというFedの政策意図は、効果が減じてしまう恐れがある。2010年、2011年と、春先までの楽観的な見方が年央にかけて下方修正されて悲観論に至り、そして年末に帳尻を合わせるという過程を繰り返してきた。果たして今年はそのようなアップダウンを回避することができるだろうか。当社では、2012年2.3%という見通しを5ヶ月連続で据え置く。
◆だが、米国の民間部門を取り巻く不透明な環境、対外的には欧州問題、国内的にはブッシュ減税の終了や強制歳出カットの開始という財政の2013年問題は、基本的には変わっていないといえよう。確かに、前者はECBによる大規模な資金供給や民間債権者が保有するギリシャの債務削減、EU・IMFによるギリシャに対する第2次支援決定など前進しているが、完全に払拭されたと誰が保証してくれるのか。しかも、足もとでは、ガソリン価格が昨年同様に高騰しており、新たなマイナス要因が顕在化している。
◆FOMCを受けて市場の楽観的ムードが一段と強まった結果、株価が大きく上昇すると同時に、金利も大幅に上昇。長期金利を低めに誘導して景気回復をサポートしたいというFedの政策意図は、効果が減じてしまう恐れがある。2010年、2011年と、春先までの楽観的な見方が年央にかけて下方修正されて悲観論に至り、そして年末に帳尻を合わせるという過程を繰り返してきた。果たして今年はそのようなアップダウンを回避することができるだろうか。当社では、2012年2.3%という見通しを5ヶ月連続で据え置く。
このコンテンツの著作権は、株式会社大和総研に帰属します。著作権法上、転載、翻案、翻訳、要約等は、大和総研の許諾が必要です。大和総研の許諾がない転載、翻案、翻訳、要約、および法令に従わない引用等は、違法行為です。著作権侵害等の行為には、法的手続きを行うこともあります。また、掲載されている執筆者の所属・肩書きは現時点のものとなります。
執筆者のおすすめレポート
-
米経済見通し 変調を示唆する・示唆しない材料
外部の不安定さは、依然として“今年は違う”というシナリオのリスク要因
2012年04月19日
-
米国の雇用環境は20万人超のペースで拡大中
2月の雇用統計:非農業雇用者数は22.7万人増、失業率は8.3%で横ばい
2012年03月12日
-
米経済見通し 暖かさの良し悪し
緩やかな景気回復継続の見方に変更なし
2012年02月20日
関連のレポート・コラム
最新のレポート・コラム
よく読まれているリサーチレポート
-
日本経済見通し:2024年2月
2025年度にかけて1%前後のプラス成長と2%インフレを見込む
2024年02月22日
-
ビットコイン現物ETF、日本で組成可能か?
米SEC承認を受けて、日本で導入することの法制度上の是非を考察
2024年02月13日
-
第220回日本経済予測(改訂版)
賃上げの持続力と金融政策正常化の行方①自然利子率の引き上げ、②投資と実質賃金の好循環、を検証
2024年03月11日
-
日本経済見通し:2024年3月
24年の春闘賃上げ率5%超えを受け、日銀はマイナス金利政策を解除
2024年03月22日
-
2024年の日本経済見通し
緩やかな景気回復と金融政策の転換を見込むも海外経済リスクに注意
2023年12月21日
日本経済見通し:2024年2月
2025年度にかけて1%前後のプラス成長と2%インフレを見込む
2024年02月22日
ビットコイン現物ETF、日本で組成可能か?
米SEC承認を受けて、日本で導入することの法制度上の是非を考察
2024年02月13日
第220回日本経済予測(改訂版)
賃上げの持続力と金融政策正常化の行方①自然利子率の引き上げ、②投資と実質賃金の好循環、を検証
2024年03月11日
日本経済見通し:2024年3月
24年の春闘賃上げ率5%超えを受け、日銀はマイナス金利政策を解除
2024年03月22日
2024年の日本経済見通し
緩やかな景気回復と金融政策の転換を見込むも海外経済リスクに注意
2023年12月21日