2011年10月31日
サマリー
◆2011年Q3の実質GDP成長率は前期比年率2.5%増と9四半期連続のプラス成長になり、2011年前半の1%成長から加速していることが確認された。振り返ってみれば、国内的には連邦政府の債務問題を巡る政治的な混乱が生じ、海外では欧州の財政危機・金融システムへの不安から、7月下旬から株価が大幅に下落するなど金融市場の不安定な動きが続いた。消費者や企業経営者のマインドが大きく悪化し、カギとなる雇用環境の改善ペースは鈍化。その結果、景気の二番底懸念が高まり、Fedは緩慢な景気回復に対して追加の緩和措置を実施せざるを得なかった。このような状況にもかかわらず、成長が加速したことから、景気後退懸念は昨年同様にトーンダウンしたといえよう。
◆Q3の中身をみると、個人消費と企業の設備投資が前期から加速し牽引役になっている。住宅投資や外需もプラスに寄与しているほか、政府支出は横ばいにとどまった。企業の在庫変動が唯一成長率を大きく押し下げており、Q3はみかけの数字以上に強い内容といえる。今後の焦点はこの勢いを維持できるかだが、個人消費に関する懸念材料は所得が伸び悩んでいる点である。また、国内的には、オバマ大統領が要望する経済対策の目処は立っていない。対外的には、欧州の問題は解決する方向に向かっているものの、リスクとして意識し続ける必要があるだろう。従って、緩やかな景気回復というメインシナリオを大きく上方修正させるような材料が見当たらない。
◆Q3の中身をみると、個人消費と企業の設備投資が前期から加速し牽引役になっている。住宅投資や外需もプラスに寄与しているほか、政府支出は横ばいにとどまった。企業の在庫変動が唯一成長率を大きく押し下げており、Q3はみかけの数字以上に強い内容といえる。今後の焦点はこの勢いを維持できるかだが、個人消費に関する懸念材料は所得が伸び悩んでいる点である。また、国内的には、オバマ大統領が要望する経済対策の目処は立っていない。対外的には、欧州の問題は解決する方向に向かっているものの、リスクとして意識し続ける必要があるだろう。従って、緩やかな景気回復というメインシナリオを大きく上方修正させるような材料が見当たらない。
このコンテンツの著作権は、株式会社大和総研に帰属します。著作権法上、転載、翻案、翻訳、要約等は、大和総研の許諾が必要です。大和総研の許諾がない転載、翻案、翻訳、要約、および法令に従わない引用等は、違法行為です。著作権侵害等の行為には、法的手続きを行うこともあります。また、掲載されている執筆者の所属・肩書きは現時点のものとなります。
執筆者のおすすめレポート
-
Fed、現行政策を維持し状況を注視することに
景気の先行きに著しく下ブレリスクは残ったまま
2011年11月04日
-
Fed、段階的な追加の金融緩和に踏み切る
景気の先行きには、著しく下ブレリスクがあると指摘
2011年09月22日
-
Fed、2013年半ばまで超低金利の継続を表明
景気は著しく減速し、下ブレリスクが高まる
2011年08月10日
関連のレポート・コラム
最新のレポート・コラム
よく読まれているリサーチレポート
-
2024年の日本経済見通し
緩やかな景気回復と金融政策の転換を見込むも海外経済リスクに注意
2023年12月21日
-
中国経済:2023年の回顧と2024年の見通し
24年の成長率目標は5%か?達成の鍵は民営企業へのサポート強化
2023年12月21日
-
2024年の米国経済見通し
①個人消費の腰折れ、②インフレ率の高止まり、③政治の停滞がリスク
2023年12月21日
-
2024年度税制改正大綱解説
定額減税は経済対策としては疑問だが、インフレ調整策としては有効
2023年12月25日
-
四半期報告書の廃止に関する改正法の成立
四半期報告書が廃止された後の四半期決算短信の内容は?
2023年12月04日
2024年の日本経済見通し
緩やかな景気回復と金融政策の転換を見込むも海外経済リスクに注意
2023年12月21日
中国経済:2023年の回顧と2024年の見通し
24年の成長率目標は5%か?達成の鍵は民営企業へのサポート強化
2023年12月21日
2024年の米国経済見通し
①個人消費の腰折れ、②インフレ率の高止まり、③政治の停滞がリスク
2023年12月21日
2024年度税制改正大綱解説
定額減税は経済対策としては疑問だが、インフレ調整策としては有効
2023年12月25日
四半期報告書の廃止に関する改正法の成立
四半期報告書が廃止された後の四半期決算短信の内容は?
2023年12月04日