米国の雇用統計に一喜一憂は禁物
9月の米国雇用統計:非農業雇用者数は10.3万人増、失業率は9.1%
2011年10月11日
サマリー
◆9月の非農業雇用者数は前月差10.3万人増と市場予想を上回った。加えて、過去2ヶ月分が9.9万人分も上方修正されたことから、8月時点でみられた雇用増加基調のストップは回避され、景気後退への警戒感は和らいだといえよう。◆注目される民間部門も13.7万人増と8月の4.2万人増から大幅に加速した。ただ、8月に発生したストライキによるブレが生じているために、額面通りには受け取れない。ノイズを調整すれば、8月、9月ともに9万人前後の雇用の伸びになろう。やはり、今年1~4月の平均増加ペース20.4万人増から減速していることになる。政府部門が引き続き労働市場を圧迫している一方、民間部門では、専門・企業向けサービスや教育・健康サービスなど、やや限られたセクターにおいて増加がみられる。
◆9月の失業率は9.1%と前月から変わらず、この半年間ほぼ横ばい状態で推移している。ただ、前月同様に、労働参加率が上昇しているなかで失業率が横ばいである点は評価できる。また、経済的理由のパートタイム従業員が増えている状況は懸念材料だが、一方で非自発的離職は減少している。就業者、失業者、非労働力人口の三者間における人の流れが活発になっており、労働市場の流動性が高まっているといえよう。
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